120余名が集い、イラク派兵・有事法制の実施、憲法改悪に反対!
イラク派兵・有事法制の実施を許さない9・20大集会全発言

(9月20日(土) 板橋区文化会館・ 大会議室)

  

  主催   :日本国憲法をくらしに生かす会
       民主主義と平和憲法を守る文京連絡会
       テロ特措法・海外派兵は違憲市民訴訟の会
       憲法擁護・非核平和を進める中野区民の会
       改憲とあらゆる戦争法に反対する市民ネットワーク21

※以下はつどいにおいての全発言を記載したものです。<続き 2>          <   2 >

パネルディスカッション

1. 問題提起
「学びつつ、行動する」というKITのモットーで、元気にイラク戦争、有事法制、イラク特措法に反対
――野崎彩さん
(戦争への道を許さない北・板橋・豊島の女たちの会)

野崎)

今日は、ここでお話しできる機会をいただきましてありがとうございます。「戦争への道を許さない北・板橋・豊島の女たちの会」ということで今日は呼ばれたのですが、私は最近では、アジアン・スパークという学生の集まりに出ることが多くなっています。そのことも含めてイラク攻撃が始まって、これまでどういう思いで何をしてきたのかをお話しさせていただきます。

「面白そう」がきっかけで集会・デモに参加
野崎)
私が初めてイラク攻撃反対の集会とデモに参加したのが、2月15日でした。当時、私は、豊島区から区議会議員に立候補していた方の選挙を手伝っていました。その方は「戦争への道を許さない北・板橋・豊島の女たちの会」の活動を長年なさっており、渋谷でブッシュのお面をつけて踊るという話を聞きました。そこで私は、面白そうだと思って見に行きました。ブッシュのパフォーマンスや、ピースボートのダンス・チームの踊りや、飛び入りで歌を歌う人もいて、かなりの人が足を止めて聞き入っていました。そのあとの宮下公園からのパレードにも私は参加しました。その時は世界同時行動ということだったので、外国人らしき人もたくさん参加していたし、韓国の米軍の戦車にひかれてしまった女生徒の遺影とロウソクを掲げて歩いている人もいたし、色々な思いを持った人々が参加していたパレードでした 。

 それが始まりで、3月8日、21日、4月5日の「ワールド・ピース・ナウ」のデモに、KITの人たちと一緒に参加しました。自分でプラカードをつくって「一緒に歩こう、戦争を止めよう」と道行く人に訴えました。私の前に「入ってもいいですか」と入ってくる人もいました。パレードをずっと見ていた女の子がいたので、その人にも「一緒に歩きませんか」と話しかけました。彼女から「あのー、知り合いじゃないですよね?」と言われたのですが、「ずっと見ていたので声かけちゃったんですよ」と言ったら一緒に歩いてくれました。彼女はその後、何回かKITの活動にも参加してくれていますので、沿道で声をかけるのはお薦めです(笑い)。

 それからKITの会では何回か学習会を開きました。バークレーのビデオを見たり、生活安全条例の問題点について亜細亜大学の石ア学さんのお話を聞いたりしました。学びつつ行動するのがKITのモットーだそうですが、小さな勉強会をしながら、デモに行って訴えるということをやったりしてきました。

●替え歌、コスプレ、人文字…、様々なパフォーマンスで有事法制、イラク特措法に反対

野崎)
五月に、有事法制が通りそうだという時に、ワールド・ピース・ナウをやってきた人たちの中から、「NOユージ、VIVA友情キャンペーン」という有事法制に反対する動きが出てきまして、私はその記者会見に行きました。そこでアジアン・スパークが、ピンクレディーの「UFO」という歌の替え歌で「ユージホー」というのをつくりました(笑い)。また変なことを思いついたなと思って、アジアン・スパークの人にコンタクトをとりました。すると踊る人がいないというので、「じゃあ、私が踊りますよ」といって踊りを教えてもらって渋谷でパフォーマンスをしました。その時は、『ニュース23』にもちょこっと映ったし、やはり足を止めてみてくれる人がたくさんいました。ちょっと「ユージホー!」(2番)を歌ってみます(笑い、拍手)。

 「♪あやしい奴だと思っただけで(ユージホー!ユージホー!)/人殺せる 戦争できる/攻められるよりもはやく/話し合うよりも前に/日本が戦争はじめられるの(ユージホー!)/ああ私は関係ないと(ユージホー!ユージホー!)/思ってたら大間違いよ/家をとりあげられたり/爆弾運ばされたり/戦争するのは私やあなた♪…」という感じです(拍手)。これをピンクレディー風にかなりのミニスカートと、宇宙人ということで触覚をビヨーンとつけて踊りました。

 また、有事法制反対の「ナース・ウォーク」もやりました。もし有事になったら戦場に行くのは誰なのかをアピールするために、みんなで白衣を着て歩いてみたり、運輸業の関係者の格好をしたりして渋谷を歩きました。ナースの格好だとなぜかおじさんの受けがいいので(笑い)、ビラをたくさん受け取ってもらったり、「何だろう」と思って見る人がやはり多かったです。そういうふうにする中で、やはり目立つことが大事だと思いました。

 有事法制が通ってしまって、すぐに「イラク特措法」が出てきた時には、本当に反対する間も与えない勢いだと思いました。「イラク特措法」の時は、国会前に行ったり、ロビー活動も色々やりました。七月七日は〃七夕パレード〃と題して、浴衣のコスプレです。浴衣を着て、笹も持って、笹なのでパンダも登場させてしまおうというのでパンダの着ぐるみも着て歩きました。それは『朝日新聞』『毎日新聞』に写真付きで掲載されました。

 8月6日の原爆の日には、灯籠でピースマークをつくろうと広島市民の方が企画していたのですが、そこにアジアン・スパークも加わって、ピースマークと、ハングル、アラビア語、日本語で「平和」という文字を灯籠でつくりました。それも『中国新聞』『毎日新聞』の一面に、写真付きで報道されました。
 9月17日は、「日朝平壌宣言」一年ということで、英語で「live together」、ハングルで「オッケドンム(友)」、漢字で「友」、あとはピースマークをキャンドルでつくりました。それも『朝日新聞』『毎日新聞』『北海道新聞』などに掲載されました。全部で二十社が取材に来たそうですが、海外のメディアにも色々と紹介されました。

〃やり方の工夫〃と〃思いついた人がまず行動〃が大切

野崎)
私は、このような運動に関わってまだ半年なのですが、感じていることは、関心があまりない人にどうやって広げるかという時に、やはり自分の思っていることをただ真面目に話すだけでは聞いてくれない場合にどうするかということです。その時に、ちょっと馬鹿なことや目立つことをやったり、あとは灯籠やキャンドルの文字など、メディアが欲しがるようなことをするとか、そういったやり方を工夫していくことが大事だと思います。

 あとは、思いついた人がまずやることも、とても大事だと思います。「ユージホー」も、「ミニスカートでアピールするな」とか「一生懸命だけど空回りしちゃうんじゃない?」とも批判されたそうです。しかし、有事法制に反対する人がいることをアピールできるし、もっといいやり方を思いついたらその人がやればいいと思います。

社会システムのおかしさに気づき、変えていく運動を
野崎)
また、色々考えていくと、やはり今の社会システムがおかしいものだと気づきました。いま一握りの人が権力と富を得るために戦争をしたり、人の権利を踏みにじったり、搾取したり、資源を奪い取るという構造になっていると思います。そんなことでは、私たちはこの先ずっとは生きられないことは明らかですよね。戦争をくり返していたら環境が破壊されるし、放射能汚染が蔓延していくし、権力を手にしている人もテロの標的になって自分の安全すら脅かされることになるということを、早く気づいてほしいと本当に思います。そんな社会システムではなくて、もっと持続可能で、平和で、差別をなくしていく方向に向かっていく社会をつくる必要があると思います。

 今日、何冊か本を持ってきたのですが、『戦争をしなくてすむ世界をつくる30の方法』という本があります。私がこの中で一番好きなのは、「貯蓄する先を選ぼう」という部分です。例えば郵便貯金をすると、めぐりめぐってアメリカ国債を買うことにつながり、イラクの子供たちに爆弾を落とすことに加担することになるかもしれません。そんなところにお金を預けるのではなくて、例えば自然エネルギーをおこしていく事業に投資するとか、環境先進国のドイツの国債を買ってみよう、といった提案がされています。

 あと『デニス・クシニッチ』という本もあります。彼は、民主党から米大統領選に立候補しています。彼の素晴らしいところは、まず戦争に明確に反対していることと、まずアメリカから大量破壊兵器を廃絶しよう、平和省を設立して紛争の解決は国際法で、NAFTAとWTOを廃止して、すべての国の労働者の権利を守ろうと主張しています。原発にも反対していて、もっと再生可能なエネルギーを使おうと、素晴らしい政策を掲げています。この本を買うことで、デニスさんに印税が入るという点も、私たちが支援できるというところでいいのですが、これを読むだけでも、こういう道があるということで、読むだけで希望が出てくるし、やる気になる本です。中身を見て気に入ったらお買い求めください。どうもありがとうございました(拍手)。

2. ディスカッション

地域の草の根の運動から大きな運動へ
    ――太田宣興さん
(中野ピース・ナウ実行委員会)

太田)

はじめまして。中野ピース・ナウというのは、ワールド・ピース・ナウからいただいた名前ですが、一回目の実行委員会で決まりました。私たちはイラク戦争が始まる前からピースパレードを計画し、4月6日に最初のパレードを行いました。東中野駅を中心とした青年で結成しまして、地域限定の取り組みだったので、一回目の参加が55人でした。6月22日には、アメリカのアフガニスタン攻撃のあとに、アフガニスタンに調査に行かれた代々木法律事務所の伊藤和子・弁護士をお呼びして、対テロ戦争の現実について学習しました。8月30日には、参加型のイベントを開こうということで、中野ゼロホールで中野ピースライブというイベントを行いました。内容は、地元の戦争体験者の方のお話を聞くというものでした。どこどこの通りに防空壕があったとか、非常にリアルなお話をうかがうことができました。その後にみんなで『世界に一つだけの花』を、手話もしながら歌いました。中野ピースライブには合計60名以上の方が参加してくれて、実行委員会ともども励まされました。

 次は12月6日にキャンドル・ピースパレードを行います。普通に生活していると、戦争というのは見えにくい世の中だと思います。しかし、やはり戦争は終わっていない、今も続いているし、船員の方のように戦争に巻き込まれている人もいます。そのような意味で、戦争は終わっていないということ、平和の大切さをロウソクの炎で表す企画を練っています。
 私たちは、ワールド・ピース・ナウのような大きな運動ではありませんが、地域の草の根の運動として創っていけたらいいと思ってやっています。さまざまな地域で、地道にがんばっていくことが運動を大きくすることだと思います。 

運動と人間の成長にとって大切な対話
太田)
私たちの周りには、考えることを拒否してしまう人や、考え方が分からないという人、あるいは考えていてもどう表現していいのか分からない人がいると思います。そのようなことも運動の中で話し合うことが、人間を成長させるのだと思います。話し合うこと、破壊されているといわれる人間関係をきちんとつくっていくことが、運動を大きくするうえでも、人間を成長させるうえでも非常に重要だと思います。これからもみなさんと頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします(拍手)。
 最後に質問なのですが、福岡さんがおっしゃった湾岸戦争の時に船が出ていたというのは初めて聞きました。資料や情報があれば教えてほしいと思います。

福岡)
神戸の資料館ですが、これは全日本海員組合の関西地方支部に開設しております。詳しいのは持っていないので、後で連絡する方法をお話しいただきたいと思います。色々な戦争の度に私どもがどのような取り組みをしたのか、組合機関誌にまとめたものがありますので、もし参考になれば用意したいと思います。

海員組合が戦後まもなく発足に感激

戦争体験世代の女性)
福岡さんのお話で、10月5日が海員組合が発会した日だと聞いて非常に感激しました。当時、私は旧制女学校一年生でした。今日の集会参加者の中では、あの時代のことを肌で知っている人間のひとりとして、組合を再建された海員組合の人に敬意を表したいと思います(拍手)。

2002年末から急速に動き出した、アメリカの「ミサイル防衛」――「ミサイル防衛」とは?

大学生・女性)
松尾先生に、ミサイル防衛についてお聞きします。ミサイル防衛は「純粋な防衛」だと言われていますが、どうなのか教えてください。

松尾)
ミサイル防衛は、レーガン政権の「スター・ウォーズ計画(SDI構想)」から研究が始まりました。それはかけ声だけで、実現しませんでした。その時以来、日米で共同研究をずっと行ってきました。それは研究段階であって、開発段階にはありません。来年度の概算要求にも、共同研究のお金が計上されています。
 問題なのは、その継続してきた共同研究とは全く別のところから概算要求でミサイル防衛の予算が計上されたことです。クリントン政権のもとでミサイル防衛の検討はされていたのですが、最後まで決めることが出きませんでした。その後、ブッシュ政権が成立しました。もともとブッシュ政権は、ミサイル防衛の早期実現を選挙公約にもりこんでいました。2002年12月になって、「来年から実戦配備する」とクリントン政権の政策を変更する方針を発表しました。クリントン政権の時には、ある程度体系的に研究を進めて、包括的なかたちにしてから手をつけるとしていたのですが、ブッシュ政権はそれでは間に合わないから、できるものから手をつけようとしています。PAC3(パトリオット・ミサイル)というバージョン・アップしたものを新たにアラスカと本土に配備するとしています。それからイージス艦にスタンダード・ミサイル(SM―3)を新たに搭載して、洋上に配備しようとしています。

 この発表の時、ちょうど石破防衛庁長官が訪米して、ラムズフェルド米国防長官と会談しました。その前日に、ミサイル防衛の担当者が、石破さんにブリーフィングしました。会談が終わった翌日に、ブッシュ政権としてミサイル防衛を実戦配備すると発表しました。その時から日本政府の方針が変わりました。それまでは既存の共同研究を積み重ねて、配備する予定でした。ところが、それとは別個に、来年度の概算要求にPAC3とイージス艦に搭載するスタンダード・ミサイル・SM―3を配備する予算を急遽、概算要求しました。この路線転換について防衛庁はきちんと説明していません。だからみなさんもミサイル防衛は急にでてきたような印象をもたれるのかもしれません。今年の『防衛白書』でもこのことについてはきちんと説明していません。問題意識をもっているある新聞記者は、「路線転換なのに説明責任を果たしていない」と書いています。

 ブッシュ政権のミサイル防衛構想は、こういうものです。冷戦下では、アメリカとソ連は、飛んでくるミサイルを撃ち落とすミサイルをつくるとお互いが大変なことになるから、ABM(弾道弾迎撃ミサイル)制限条約を締結しました。しかし、ソ連が崩壊した後は、アメリカは大陸間弾道ミサイルの撃ち合いは想定しなくなりました。それに代わって五十数カ国に中距離の弾道ミサイルが拡散している中で「ならず者国家」が撃ち込んでくることを想定して、それにたいして迎撃ミサイルで対処するというロジックになりました。ですから迎撃ミサイルをつくることを禁止していたABM条約をお釈迦にしたわけです。それまでロシアは反対していましたが、プーチン大統領は、アメリカの「対テロ戦争」に協力していたので文句もいわずにABM条約を破棄しました。このことによって、迎撃ミサイルをつくって配備することができるようになったのです。だから、ミサイル防衛構想の具体化は昨2002年12月から加速度的に動き出したのです。 

「攻撃」と「迎撃」はワンセット。アメリカのミサイルシステムの一部
松尾)
ミサイル防衛は「防衛的なものだからいい」という意見ですが、アメリカが「核の見直し」をしたことを見る必要があります。一方では「ならず者国家」から発射される弾道弾にたいしてミサイル防衛をすると同時に、「ならず者国家」を攻撃できる戦術核を開発するという方針を出しました。これまでは核兵器を持っていない国を核攻撃しないというのが一応原則みたいになっていたのですが、ブッシュ政権はそれを転換しました。攻撃してやっつけるのと、迎撃するのとがワンセットになっています。だから片方だけ見て、「防衛的なものだからいい」と思うかもしれませんが、ブッシュ政権は非核保有国にたいしても戦術核を使うこともありうるというのです。この側面を見る必要があります。

 もう一つは、指揮権の問題です。ミサイルは分単位で着弾します。ミサイル発射をどこで探知するかというと、日本は探知能力がないからアメリカの衛星が探知します。弾道計算をして「緯度**経度**地点に何分後に着弾」という情報が、アメリカ軍を通して自衛隊に入ってきます。自衛隊は独自の判断材料がないのです。伝えられた情報を基礎にして、どこで、誰がどのように決断して弾道ミサイルを撃ち落とすミサイルのボタンを押すのかという問題が出てきます。防衛庁は、あの「テポドン」発射の後にミサイル情報の伝達演習をやっていますが、中身は秘密になっています。現在、新聞で報道されているのは次のようなものです。防衛出動を下令するためには閣議を開いて手順を踏まないといけない。そうすると分の単位で対処できないので、あらかじめその権限を首相に一任するという閣議決定をしておくということが検討されているそうです。その場合にもやはり、肝心な情報はアメリカに握られているわけであって、その中で首相に授権していくのか、という問題が出てきます。

 ですから、単に守るからいいということではなくて、攻めるものとワンセットになっていること、アメリカのミサイルシステムの一部に組み込まれてしまうことが問題です。

「日本の国益を考えると、日本がアメリカと一緒に行動するのは当然」?


大学生・男性)

福岡さんに質問します。自衛隊のイラク派遣について「国益を考えるとアメリカと一緒に行動すべきだ」という人もいます。僕は、「国益」と私たち・労働者や市民の利害は違うと思います。労働組合では、自衛隊派遣に賛成する人とも議論されていると思いますが、どう答えたらいいのかをお聞きしたいと思います。

イラク派兵で日本国民の利益は守られない。「平和を守る」こそ国民の利益を守る。
福岡)
「国益」とは何かという大きな問題ですね。「国」がつくと色々な誤解がついてきます。「愛国心」にしても「国を愛することの何が悪いのか」という意見も出てきます。しかし、私どもは〃国を愛する、だから個人の命を国のために提供しなければいけない〃ということで、先の大戦で多くの人が犠牲になりました。この過去に悲惨な思いを経験したことを考える必要があります。いま再び「自衛隊派遣が国益になる」という議論がなされていることを、警戒しないといけないと思います。イラク派兵によって、同じ国民である自衛官はどうなるのか、私たちは元気になるのか、そういうことをふり返る論議をする必要があると思います。

 労働組合でも、有事法制に賛成の人もいます。それは自分の所属する企業が、「有事」になると仕事が増え、給料が上がるから、そういう目先の利益を追いかけるから賛成だというものです。しかし、「国益」にも色々あると思います。経済もそうだと思います。経済とは、ひとりひとりの生活です。ひとりひとりの生活や命が大事にされてこそ国全体がよくなるのです。それは世界が平和であり、日本に食料や燃料などが入ってくることによって成り立っています。だから、平和を守ることこそが、日本のひとりひとりの国民の利益を守ることにつながってくる。「国の安全保障」という言葉もありますが、それは国民ひとりひとりが安心して生活できることを守ることであって、軍備で他国をうち負かすことではありません。

 以上のような話をしていますが、これで分かったとなる人はそれほど多くありません。そんなに簡単に分かる問題ではないと思います。色々討論すると大変でしょうが、力ずくでモノをぶんどるのも「国益」ではないし、世界の人々と本当に対等の立場で共存していくのが「国益」ではないかと思います(拍手)。

他の国の資源を奪って生活するという、考え方が間違っている
野崎)
なぜ政府はイラクに自衛隊を送ろうとしているのかというと、湾岸戦争の時に「金だけ出して人は出さなかった」というので石油利権がもらえなかった、それが政治家のあいだでトラウマになっているから、とにかく人を送ろうとしているという話を聞きました。
 しかし、たとえ石油が手に入ったとしても、アメリカの攻撃を支持すると言った時点で、かなり日本のイメージがダウンしました。さらに占領に加わることになれば、日本にたいするイラクの人たちの反感もさらに大きくなると思います。

 そもそも私たちがそうやって他の国の資源をとにかく奪って、自分たちの生活を潤していく考え方が間違っていると思います。いつか石油はなくなります。だから、本当に私たちにとって利益があるのは、限りある化石燃料に依存しないで、日本にある風力や、水力エネルギーを開発するとかの道を選ぶことだと思います。

「国家利益」と「国民利益」は違う
松尾)
社会的には、「国益」という言葉は広く流通していましたが、意外なことに、政治の世界で閣僚が「国益」という言葉を使ったのは小泉政権になってからが初めてです。閣僚では川口外務大臣が初めて使い、首相でいえば小泉さんが初めて使いました。
 アメリカの場合は、「国益」は、ナショナル・インタレストですが、アメリカの政府関係の文書を見ると、様々な政策を並べ、どれがナショナル・インタレストにとって重要かと順番をつけている。そういう文書がたくさんあります。

 「国益」というのは「国家利益」をちじめた言い方ですが、「国家利益」と「国民利益」とが違うこと、対立することはあり得ると思います。単純に、「国益」=「国家利益」は「国益」=「国民利益」とイコールだと考えることはできません。やはり「国権」と「民権」の違いがあるのと同時に、「国家利益」と「国民利益」は同じなのか、違うのかということを考える必要があると思います(拍手)。

民間協力の強制力は? 戦車への給油は可能? ――「イラク特措法」への質問。
「日の丸・君が代」強制、「モー娘。」を使った自衛官募集に抗議を!


教員・男性)
松尾先生に質問します。「イラク特措法」第19条に「民間の協力等」というのが入ってしまいました。これはどの程度の強制力があるのでしょうか。あわせて保険金の話がありましたが、今度政府は死んだ人に賞恤金を出しますが、どのようなものですか。
 二点目は、「イラク特措法」第八条六項に自衛隊部隊が実施する業務として、戦闘行動に発進する航空機に対する給油はやらないとありますが、これは逆にいえば戦闘行動に出る戦車や艦船には給油できることになります。そうすると集団的自衛権に触れてしまうと思いますが、いかがでしょうか。
 三点目は、自衛隊派兵恒久法にもからむのですが、高村正彦が「日本も国連安保理常任理事国に入るべきだ」と言いました。安保理常任理事国になると、軍事参謀委員会に兵を出す義務が出て来る危険性があります。

 「国益」とも絡むことで意見を言います。都立北野高校では、「君が代」斉唱の時に「思想の自由があるから、立たない自由もある」ときちんと「内心の自由」を説明してくれたので、「君が代」が嫌だと思う生徒は起立しなかった。ところが、板橋区選出の土屋都議会議員は、北野高校に行って、起立しない生徒に対して「君たち、自分の国の歌だろ! 起立して歌いなさい」と来賓席から大声で怒鳴ったそうです。そのために、生徒がさざ波のように起立してしまったという恐ろしい話があります。いま東京都教育委員会は、起立しない教員をチェックしようとしています。東京都教育委員会にぜひ抗議電話してください。都教育委員会は人権より国益の方を優先する恐ろしい機関です。

 また防衛庁は、「モーニング娘。」の写真を使った自衛官募集のポスターをつくりました。私は防衛庁に抗議電話をしました。「あなたのように抗議したのは初めてです。このポスターがほしいという電話はあるけれど」と言われました。ぜひ抗議してください(拍手)。

解雇覚悟でないと拒否できない民間協力
松尾)
「イラク特措法」第19条の民間協力の項目についてですが、条文の書きぶりは武力攻撃事態法と同じなので、武力攻撃事態法の「協力」というのと同じです。罰則はありません。企業が「協力」の命令を受けた場合に、政府は企業内部の雇用関係の問題だとして、中のことに関与はしません。企業の中でしかるべき措置をとってくれと言います。そうすると、企業はだいたい体制側ですから政府に協力し、その命令を従業員に下します。従業員がこれを拒否したら就業規則の問題になって解雇ということになります。

条文上は、戦車への給油は可能。常任理事国になれば軍を出さなければならない。

松尾)
「イラク特措法」第八条では、戦闘作戦行動に出る航空機に限定されているというのはその通りで、戦車に対する給油は可能ということになります。
 国連安保理常任理事国になるという場合に、参謀委員会のメンバーになって軍を出さないといけないというのはその通りです。小沢(一郎)さんは、かねてから国連のもとでの軍の提供のための憲法改正は必要だと主張していたので、そういう問題は発生すると思います。

国連決議があがれば、自衛隊派兵はしかたがない?!


大学生・女性)

いまアメリカが新しい国連決議をあげようとしています。もし国連決議があがったら、「国連で決まったことだから日本も何かやらないといけない。自衛隊を派遣しないといけない」という声が出てくるのではないかと危惧しています。イラクの人たちは、イラク現地の国連事務所から薬や水をもらいながら国連職員に向かって「あなた達はなぜアメリカの占領を早く終わらせないんだ」と言っていると報道されているのを見ました。このような報道を見ると、国連でお墨付きがでたから自衛隊派遣も必要というのは、おかしいと思うのですが、今後問題になってくると思います。ぜひ、ご意見をお願いします。

国連決議があがってもイラク派兵すれば、日本はイラクの人たちの敵に
福岡)
私も松尾さんに質問したいくらいの話ですが、国連決議があがったとしても、イラクの人たちは侵略者にたいする抵抗をやめる保障はありません。そこで怖いのは、派遣した方が報復されるおそれが十分あるということです。自衛隊もそうなると思います。心配するのはそこなのです。アメリカがイラクを攻撃したときに、小泉首相はすぐ賛意を表しました。そうするとイラクの人からすると、日本は敵だと見られるのではないか。すでに「日本は三番目の敵」だと言われています。自衛隊のみならず、日本の船がペルシャ湾でテロ攻撃に遭うことがあるかもしれません。そのことを心配しています。自衛隊の自殺者が増えていると聞いています。やはり命の尊さを訴えていくしかないと思います。

対テロ戦争失敗の自認――アメリカによる国連決議の追求

松尾)
アメリカが自分たちで全部やると言っていたのに、いまなぜ国連決議をとりつけようとしているのか、その理由は、結局、アメリカの戦後処理、占領政策の失敗です。 パウエル米国務長官が休養から帰ってきたブッシュ大統領に「もう潮時ですよ」と言ったそうです。ブッシュ大統領は、ネオコンサーバティブの主張していた「民主化」が簡単に進むと楽観していましたが、うまくいきませんでした。いまのブッシュ政権は、次の大統領選挙に勝つために全てのことをするとなっていますから、ネオコンサーバティブの政策を続けていてはうまくいかないということで、パウエルの助言を受け入れたのです。したがってアメリカの軍事政策の失敗ということが、基礎にあるわけです。もう一つの引き金はマイヤーズ参謀本部議長の判断です。アビザイド司令官は多国籍軍でなければイラク占領を維持できない、このまま突っ走るわけにはいかないとマイヤーズ議長に伝えた、それを大統領に伝えたとされています。そういう意味で「対テロ戦争」の継続が、ネオコンサーバティブの人々が思ったようにはいかない、はっきり失敗したと認識した上で あとはどうするかを模索し始めたということです。 

「イラク特措法」は、新たな国連決議に関係なく派兵するためのもの
松尾)
しかし問題なのは、「イラク特措法」は、国連決議が採択されるか否かにかかわらず、すでに成立しているわけですから、この法律にもとづいて自衛隊は派遣されるのです。もう一つの問題は、国連決議の文言がどうなるかということです。「イラク特措法」では国連決議をふまえて出すと第一条で規定されていますが、1441決議でさえイラク戦争の正当性は触れていません。ですから今度できる決議が、ブッシュの「対テロ戦争」としてのイラク戦争の正当性を認めるものとなるのかどうかが、大きなポイントです。そのあたりは注目して、どこまでアメリカが妥協するかという点に関わります。 

国連で決めればよいとはいえない
松尾)
福岡さんと同じ意見ですが、私は国連万能論には与しません。国際連合が、国際連盟より進んだシステムであるという意味では「よりまし」なことは確かだと思います。しかし、戦勝五大国が独占的に拒否権を持ってとり仕切るという仕組みはデモクラシーから言ってどうかと思うし、国連憲章第51条で、個別的自衛権と集団的自衛権を決めておりますが、これは国連憲章の精神になじまないものです。したがって国連憲章万能論を私はとらないのであって、国連が決めれば何でもいいとは考えません。やはりイラクの国民がどう考えるかを第一義的に考えて、対処することが必要なのではないかと思います(拍手)。

司会)
まだまだご意見・ご質問もあろうかと思いますが、会場の都合があります。会場から、まとめて発言をいただいた上で、各パネリストの方々から最後の発言をお願いします。

労働運動への中傷に、当事者は?
大学生・女性)
福岡さんにおうかがいします。労働組合にたいして「暗い」とか「入りづらい」とか「労働組合の色を薄めた方がいいのではないか」と言う人もいます。そう言われて、当事者の方は、どう思われているのでしょうか。
 私は、労働組合の運動といっても、二〇団体の有事法制反対の集会に参加するまで見たこともありませんでしたが、実際に目にして「すごい」というか力強いと思いました。ですから、労働組合の色を出さないようにとか、中傷するようなことは言わないで、みんなで協力して一緒にやっていくべきだと思うのですが…。

「マニフェスト」で、イラク派兵反対を言わない民主党

60代の男性)
松尾先生にお聞きします。民主党がだした「マニフェスト」を見ますと、〃こうすれば金が出る〃という話ばかりで、イラク派兵については反対だと言っていません。どう思われるでしょうか。
 それから、この種の集会に参加すると、だいたい参加者の平均年齢と私の年齢が一緒くらいです。ところが今日は、若い方がたくさんいて、これは一つ時代が変わったと思いました。こんなに若い人たちが中心になって、頑張っていることに希望を持ちました。これから二、三年後、憲法問題が大変なことになると思います。今のところ、力はあちら側(改憲側)にあるかもしれませんが、正義と市民の多数は絶対こちらにあります。そう確信して頑張りましょう(拍手)。

最近「北朝鮮は先に攻めてこない」、と言った安倍幹事長の真意は?

大学生・女性)
新しく自民党の幹事長になった安倍晋三という人は、よく「北朝鮮が攻めてくるかもしれない」と言っていました。ところが、数日前に見たテレビの番組では、「北朝鮮は暴発するという人もいるが、日朝会談で金正日さんに会って、色々冷静に・論理的に考える人だとお見受けした。彼の目的は体制維持です。先に攻撃すると一、二週間でアメリカにやられてしまうから、北朝鮮が、先に攻撃してくることは絶対にあり得ない」と言っていました。

 これまでさんざん「北朝鮮脅威」を煽っておきながら、これをひるがえすようなことを言っていて、やっぱり有事法制を通すために煽っていただけだったのかと思ったのですが、それでも、あえてひるがえすようなことを言っているのはなぜなのか疑問に思いました。ご意見をお聞かせてください。

マニフェストに書かないくらい〃弱い反対〃の民主党
松尾)
民主党は、マニフェストにイラク派兵に反対だと書かないくらい、弱い反対なのです。フランス政府、ドイツ政府よりは弱い反対だと思います。結局、国連決議による正当性がないから反対というだけだと思います。
 ちなみに、今度イラクに派遣されるのは旭川(北海道)の部隊なのですが、そこでは自民党が戦々恐々としているそうです。民主党が選挙で勝つのではないかということで…。

 安倍さんの「変化」ですが、それが本当の変化であれば、水面下で「あひるの水かき」をしているということとの関係でのことだと思います。

労働組合も少しは考えていることを理解いただき共に頑張りましょう!(福岡)


福岡)
大学生の方の質問は、私たちにたいする適切なアドバイスだと私は受けとめました。
 現在、労働組合は組織率が下がっていますし、労働組合がなくても生活できるのではないかという意識が労働者の中にもあります。しかし、決してそうではありません。

 今も労働組合は頑張っています。イメージでは私たちも実は悩んでいます。二〇団体で集会をやるときに必ず市民団体の方も入ってもらって実行委員会をつくっていますが、その時に私たちはよく言われます。労働組合はシュプレヒコールをやりますが、それがどうも市民運動の方には評判が悪い、内容を変えましょう、と。でも、私も市民の方々がやってらっしゃるデモ…、デモではなくてパレード、に参加させていただきましたが、似たようなことをしているんですね。「NO WAR! NO WAR!」と、言葉は少し違いますがやっていることは同じじゃないかと思いました(拍手)。とは申しましても、労働組合の場合は、何かをやるときには、形を作ろうという考え方があります。そのあたりは、みなさん方と一緒に行動できるようなことを考えていきたいと思いますので、みなさん方も、労働組合も少しは考えているんだなという思いで見ていただきたいと思います。

 労働組合といっても色々な組合があり、二〇団体もそれぞれナショナル・センターの中にいて、身動きがとれないところもありますが、二〇団体は、そういう枠を越えて、有事法制反対、イラク攻撃反対など、平和のためにやっていますので、これからもよろしくお願いします(拍手)。

やる気がますますでてきました! 一緒に頑張っていきましょう!(野崎)


野崎)
今日は、広い世代の方とお話しができて、また色々な立場の方のお話が聞けて勉強になったし、やる気がますます出てきました。イラクに自衛隊を派遣させない、有事法制を実施させない、これから平和な世界を創っていくために一緒に頑張っていきましょう。ありがとうございました(拍手)。

閉会あいさつ

アメリカの自滅は必至――全世界の民衆と手を携え、これからも力強く運動を!
――尾形憲さん
(テロ特措法・海外派兵は違憲 市民訴訟の会代表)

尾形)

テロ特措法・海外派兵は違憲 市民訴訟の会の尾形です。私たちは昨年の7月11日に、原告253名をもって埼玉地裁に提訴しました。ところが、大変けしからんことにわずか三回の公判で棄却されました。私たちはさっそく東京高裁に控訴しまして、11月27日、午前11時から第一回の公判があります。是非みなさんも参加していただきたいと思います。

 今日のお話しの中で、民間人の戦争協力のお話しがありました。すでに自衛隊艦船の修理にインド洋に技術者が派遣されているのですから、イラクにはなおさら多くの民間人が動員されるのは明らかだと思います。インド洋への派遣に際しては、52人の自衛官が派遣を拒否しましたが、こういう動きもさらにでてくると思います。6月15日に、私も呼びかけの一人になって自衛官の海外派兵の相談を受けるホットラインが発足しました。アメリカのオークランドでの米兵のホットラインと連携してこういう運動をすすめています。

 さて、イラクの状況ですが、今までのお話しにもありましたが完全に泥沼です。今度五団体で出しました『どこからでも読める、北朝鮮・イラク・憲法』にも書きましたが、イラクの状況が長引けばドル暴落が確実に起こります。インドネシアや中東の産油国が、今までドルで売っていた石油をユーロに切り替えました。それから、すでにブッシュの人気はガタ落ちです。イギリスのブレア首相も同じです。2月15日には、全世界で1500万とも2000万ともいわれる人がイラク攻撃に反対しました。私たちの訴訟にたいしてもチャールズ・オーバービーさん、ノーム・チョムスキーさん、ハワード・ジンさんなど、多くの平和活動家から力強い連帯・激励のあいさつが来ています(拍手)。こういう人たちと連帯して運動をすすめる必要があると思います。アメリカは強大に見えますが、張り子の虎です。いずれ自滅せざるを得ない。私たちは世界の民衆と手を携えながら、これからも力強く運動をすすめてまいりましょう!(拍手)。


←前のページ
back

◆Copy-right hankaikennet21 All Right Reserved.◆掲載記事・画像の無断転載を禁じます。