教育基本法改悪反対!  12・23全国集会集会アピール文


 本日、私たちは組織・団体の枠を超えて全国から集まり、経験や問題意識を交換し合い、教育基本法の改悪がいかなる問題をもっているのかをお互いに確認しました。教育基本法が2003年3月20日、アメリカがイラク攻撃を開始したのと同じ日に出された中央教育審議会答申の方向で改悪されるならば、教育は子どもたち一人ひとりの個人を尊重することを基盤とするものから、国家戦略を担う人材育成のためのものへと変えられることになります。

 すでにこの間の教育をめぐる状況は深刻なものとなっています。一つは偏狭な国家主義の 広がりです。1999年の国旗・国歌法成立以降、入学式や卒業式における日の丸・君が代の事実上の強制が行なわれ、それに反対する多数の教職員が処分されています。これは現場教職員と生徒の思想・信条の自由や教育における自由を奪うものです。また2001年には近代日本の戦争を賛美し、アジア諸国の人々を蔑視する内容の「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書が検定を通過し、いくつかの学校で採択されました。2002年には、文部科学省自身が「国定教科書」『心のノート』を作成・配布し、使用を強制しようとしています。「愛国心」をABCで評価する通信簿を出した小学校まであります。

 もう一つが新自由主義改革による差別化・序列化の拡大です。「ゆとり」という名で行なわれている公教育のリストラは、出身家庭による子どもの教育機会の不平等を拡大していま す。「個性化」という名で行なわれている教育における市場原理の導入は、学校、教職員、 生徒それぞれの競争を激化させ、教育現場は「ゆとり」を失い、さらに序列化が進んでいます。学校は子どもたちを選別する機関としての性格を一層強め、教職員や保護者も含めて、 そこから抜け出すことか困難な状況が生まれています。

 教育基本法の改悪はこの二つの方向を固定化し、法的に追認するものです。そして教育行政の権利を法的に確立し、教育振興基本計画によってそれをフリーハンドで実行に移そうと しています。「日本人」の育成や「伝統・文化の尊重」を強調する国家主義は、一人ひとり の子ども、そして大人の心に対する国家の介入を強化すると同時に、在日外国人をはじめとする他民族・他文化の共生を阻み、暴力的に非「日本人」を排除することにつながるでしょう。また、伝統的な家族像を押し付け、「男女共学」を削除しようとする方向は、現在強まっているジェンター・フリー教育への攻撃とともに、男女平等を阻み、性・ライフスタイル の多様性を許さない社会をつくろうとするものです。宗教教育の強調は、「畏敬の念」をもたせることによって、国家や社会を批判することを自ら抑制する、従順で人権意識の希薄な 「国民」をつくり出す危険性をもっています。国際競争力を担う人材育成を目指す新自由主義は、教育の機会均等を踏みにじり、社会の不平等化をもたらします。新自由主義の特徴である優生思想は、子どもたちを能力によって差別することを当然視し、それは持に「障がい」 児に対する差別を助長することにつながります。私たちはこのような改悪を許すわけにはいきません。

 教育基本法はその成立の経緯と内容からいって、平和主義を最大の持徴とする日本国憲法と強い一体性をもっています。小泉首は、2005年までに憲法改悪の路線を確立することをすでに明言しています。教育基本法か改悪されることは、9条を含めて日本国憲法を改悪 することにつながっています。今年成立した有事法制によって「戦争のできる国家」づ<りを進めてきた政府が、それを担う「国民」を育成することを可能とするために、教育基本法 の改悪か狙われているのです。世論の強い反対を押しきってイラクヘの自衛隊派遣が強行されようとしている今、教育基本法の改悪か行なわれようとしていることは、その関係を明確に示しているといえます。

 教育基本法の改悪は、かつて日本か行なった侵略戦争に対する強い反省に基づいて教職員が実践してきた反戦平和教育、子どもたち一人ひとりを大切にする視点から差別の撤廃を目指してきた教育における平等主義、それらをともに解体することを狙っています。
本日の集会に参加した私たちは、教育における国家主義と差別化を推進し、再び戦争ので きる「国民」づくりにつながる教育基本法の改悪を全力で阻止することをここに宣言します。


              2003年12月23日
教育基本法改悪反対!12・23全国集会参加者一同
 


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