120余名がつどい、派附」改憲と報道の問題点・運動の行く手を問う
「2・22 イラク派兵と憲法改悪に反対するつどい」全発言

2月22日(日) 東京都文京区民センター2A
  

  《主催》民主主義と平和憲法を守る文京連絡会
      日本国憲法をくらしに生かす会
      テロ特措法・海外派兵は違憲 市民訴訟の会
      憲法擁護・非核平和を進める中野区民の会
      改憲とあらゆる戦争法に反対する市民ネットワーク21

 ※つどい全発言 続き < 2 >          <   2  >

ディスカッション

司会)
豊さんと成澤さんは、この後に予定を控えておられまして、途中で退席されることになっております。
少しの時間ですが、会場からのご質問・ご意見を受けたいと思います。

「黄色いハンカチ」運動や自衛隊員に呼びかける派兵反対運動で良いのか?
大学生・男性)
成澤さんが、人の命は共通に大切だとおっしゃっていたことはそうだと思うのですが、自衛隊の無事帰還を願う「黄色いハンカチ」運動については、どうお考えでしょうか? 
それから、イラク派兵反対の運動として、自衛隊員に向かって「死ぬな、殺すな、殺されるな」と呼びかけることについては、どのように思われますか。成澤さんがおっしゃったように、志願して、任務として行く自衛隊員に「拒否」を呼びかけるというのは倒錯のように思うのですが…。

「(自衛隊が)行かないより行った方が 役に立つ」という意見については?
大学生・男性)
大学で、イラク派兵反対を呼びかけているのですが、自衛隊のイラク派兵について「行かないよりは行った方が、イラクの人たちの役に立つし、復興支援になるのでは。」と賛成したり、しかたがないと思っている人がかなりいます。このような意見についてのお考えをお聞かせ下さい。

報道統制・報道規制の実態は?

大学生・男性)
一月に政府・防衛庁が、制服組の定例記者会見を中止するという報道があって、『ニュース・ステーション』などで、かなり制服組のトップを追及する場面もあったのですが、その後、報道規制の問題はどうなったのでしょうか? 
僕は、すでにマスコミ報道は「大本営発表」になっているのではないかと思っています。米軍がイラクでどういう戦闘行動を行っているのかの報道はほとんどありません。いまの報道統制・規制の問題についてお話しをお願いします。

記者の「匍匐前進」訓練、政府の「二枚舌」、NHKの取材のしかたについて

高校教員・男性)
三点質問です。
一点目は、先日、イラク取材に行く記者を対象に「匍匐前進」を含めた訓練が自衛隊駐屯地で行われたそうです。このような訓練は初めてだそうですが、こんなことをしていたら、防衛庁寄りの取材しかできないと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
 二点目は、成澤さんから「安全確保支援活動」という名の軍事活動についてのお話がありましたが、小泉首相は武器の輸送をやらないと言っておきながら(03年12月9日)、翌日10日には福田官房長官がそれをくつがえして、武装米兵の輸送はしていいと言いました。これは二枚舌だと思いますが、なぜ記者は、つっこんだ質問をしないのでしょうか?
 三点目は、私は自衛隊員の家族の取材について関心をもっています。TBSやテレビ朝日は、家族の顔が映らないようにして取材を行い、家族の本音を引き出しています。例えば、なぜ小泉首相は行かないのに自分の息子は行かされるの? というような権力批判も出てきます。
ところが、NHKの場合は正面から顔を映してインタビューをしています。
そうすると、自衛隊は労働組合をつくったら懲役三年の世界ですから本音が言えません。ただ「無事に帰ってほしいです」とか、そういうことしか言えません。NHKは、意図的にそのような取材のしかたをしているのでしょうか?

最大の「復興支援」は、いますぐ戦争をやめる=アメリカがでていくこと――成澤さん

成澤)
「黄色いハンカチ」運動についてですが、「無事に帰ってきて下さい」ということは「死なないで下さい」ということですね。
「死んじゃイヤだ」「帰ってきて」というのならば「行かないで下さい」と言うべきです。行くと確実に被曝するし殺される可能性があります。
そういう人には「無事に帰ってきて下さい」と言うよりは、「行かないでくれ」と言う方がはるかに人間として当たり前の行為だと思います。

 もう一つは、「人道復興支援」ですが、これも考えれば分かることですが、イラクは戦争中です。戦争というのは何ですか、人を殺して物を破壊することですよね。破壊しながら「復興」することは無理なことです。
だったら戦争をすぐやめればいいことです。 それが最大の「復興支援」になるし、最大の条件は、まず戦争がない状態からスタートすることです。
戦争を止めるためにどうすればいいか。
それは不法に陣取っているアメリカ軍が出ていけばいいんです(拍手)。
それを言わないで「復興支援」なんていうのはデタラメの極致です。インチキもいい加減にしてくれと言いたい。
小泉首相は、何もイラクの人たちのことを思って、自衛隊をイラクに行かせているわけではありません。彼は自衛隊に何と訓示したのか。
「日米同盟のために行くんだ」と言ったわけです。だまされてはいけないと思います。

 情報統制のことですが、時間の都合ですべてお話しすることができないので、『週刊金曜日』2月13日号を読んで下さい。記者会見をボイコットした後の状態がどんなひどいことになっているのかについて、マスコミが一切触れないことを書いています。是非読んで下さい。
『大マスコミが自衛隊に提出した申請書の中身』という記事です。

米軍についての報道は、いまのメディアの課題――豊さん

豊)
情報統制については、私も詳細は承知していないのですが、記者会見については防衛庁の側は中止、記者クラブの側はそれはおかしいと、そして何らかの調整がすすんで、防衛庁が当初言っていたものは変わってきたと理解しています。

 米軍の戦闘行動についての報道がないことについてはそうだと思います。アフガニスタンでも戦闘が続いています。そこについてどういう状況にあるのかは、きちんとまとめたかたちでやっていかないといけないのは、いまのメディアに課されたテーマだと思います。

 記者が「匍匐前進」の訓練をやったことについてですが、〃防衛庁寄り〃の取材になってしまうのではないかという危惧については私も感じますが――そこは身内を擁護するという話ではなくて――やはり危険なところに行く、戦場取材をするという中で何らかの訓練が必要だと思います。防衛庁の側から、何らかの意図的なものがあれば問題だと思うのですが、それは取材をしていないのでわかりません。

司会)
残念ながら、時間が来てしまいました。
 豊さん、成澤さん、お忙しい中、どうもありがとうございました。(拍手の中、豊さん、成澤さんが退席)
 では、休憩の後に、渡辺さんにご発言をお願いし、全体でディスカッションを行いたいと思います。

再び問題提起とディスカッション

すでに強制的に戦争協力――いま軍需産業の職場で起こっていること
――渡辺鋼さん
(人権回復を求める石播原告団団長)


渡辺)
お話しをさせていただく機会を与えていただいて感謝しております。私たちの実状についてお話しします。

 私は石川島播磨重工業の航空宇宙事業本部にいます。西東京市の田無工場と、横田基地のすぐ近くの瑞穂工場が中心になって航空宇宙事業本部が構成されているのですが、ここでは自衛隊の軍用機のジェットエンジンをほぼ一手に生産し、整備しています。民間のエアラインのエンジンの整備などもしていますが、中心は兵器生産、軍事生産の職場です。この職場の中で、いま何が起きているのかということからお話しします。

 今度、イラク特措法で自衛隊が出ていきましたが、それに関連して、当面一番問題になっているのは、防衛庁が川崎重工にたいしてC130の支援を現地でやるようにという要請をして、そのことを隠せといったことです。
資料の二頁にありますが、この問題については、先だっての国会でも追及がありました。

C130の機体は川崎重工、エンジンは石川島播磨重工で整備しています。
したがって、川崎重工と同じようなかたちの支援要請が石川島播磨重工にたいしてもいつあるかもしれない。
現地に常駐をしろという要請がきて、常駐はあまりにも危険だから問題が起きたらその都度行きますということで、職場の中では誰がいくかというリストがつくられるという状態になってきています。

この件に関しては、リストなどの資料が手許にないので、きちんとお話しできないのですが、「テロ特措法」にもとづいて自衛隊がインド洋に出ていったときには、出ていくとすぐに、自衛隊艦艇がトラブルを起こしたらすぐに修理できるように準備をしろということでいろいろな指示が矢継ぎ早にだされて、職場の中で大きな問題になりました。
それが資料三頁にあります。自衛隊の横須賀造修補給所の艦船部長から、石川島播磨重工の社長にではなく、日頃つきあっている防衛システム事業部営業部長あてに、技師の派遣準備をしろ、パスポートを取れという要請が来るのです。
そうすると、こういう要請が来たから、お前とお前は準備しろとなるのです。

「テロ特措法」成立以前からあった「支援要請」
渡辺)
資料四頁は、03年に川田悦子議員が国会で追及したときに防衛庁がしぶしぶ出してきた資料です。どこに要請したのか宛名が消えています。
これは今回も問題になったC130輸送機です。

「テロ特措法」にもとづいて自衛隊艦艇が出ていく前に、現地でいろいろな機材を運ぶということでC130輸送機が行ったのですが、日付が10月5日になっています。これはまだ「テロ特措法」が成立していない時期です。
ところが、C130はもう出ていったのだから準備しろと言ってきているのです。
空幕の装備部長から、機体は川崎重工、エンジンは石川島播磨重工へきているのです。このように、民間企業にたいして自衛隊が必要なら、一片の文書がメールやファックスで届けられて、それですぐに準備させられます。

 資料五頁は、具体的にどういう準備をしたかという当時のリストです。
防衛システム事業部で「高性能二〇ミリ機関砲の修理態勢」ということで、名前が挙がっていますが派遣要員はこうだ、パスポートナンバーはこうだということです。エンジンの整備部門や、二〇ミリ機関砲の整備部門、あるいはヘリコプターの着艦拘束装置(艦艇の上に配備されたヘリコプターが、動かないようにとめておく装置)の修理など、いろいろな部門に要請が来ました。

 三年前に、こういうことが一気に出てきたわけです。同じような要請は、リムパックなど自衛隊の演習の時にもありましたが、これは演習ではありませんから、職場でも問題になったわけです。
行けといわれたらどうしよう、でも断れない、労働組合も派遣賛成の労資協調の組合ですからとりあってもらえない。
そこで、当時、私たちは職場の差別をなくせ、人権侵害をやめろという裁判を、労働組合も取り上げないので八人でおこしていたのですが、そういう私たちに「何とかならないか」と相談が持ち込まれたのです。

 今回、イラクに自衛隊が派遣された中で同じような問題がますます広がってくると思います。
資料一頁目に、「インド洋派遣自衛艦一覧」がありますが、どの自衛艦をいつ派遣して、いつ帰ってきたのかは、防衛庁のホームページに出ています。しかし、一覧表の右側にある「民間人派遣による修理」については何も教えなかったのですが、02年7月からは、問い合わせれば答えるようになりました。補給艦「はまな」では、舵のモーターが故障したから民間人が修理に行きました。護衛艦「いなづま」ではクレーンの修理に行きました。現在のところ、十回、三十二人が派遣されています。

職場で、家庭で…、ものが言えない状況に

渡辺)
こうして民間人の派遣がすすめられる中で、派遣のされ方が、職場の中でも問題になっています。
どういうことかというと、行くということを同僚に言ってはいけない、人知れず行くのです。
「あ、あいつがいなくなった」「どうやら行ったらしいよ」という感じなのです。行くことも言ってはいけないし、帰ってきてもどこで何をしたのか、どういう経路で移動したのかも言ってはいけないのです。
そうなりますと、奥さんや家族には行くことを言うのはやむを得ないことなのですが、子どもに、学校でお父さんが行っているよと言ってはいけない、奥さんにたいしても、隣近所に「ご主人はしばらく見えないけどどうしたの」と聞かれても言ってはいけないということなのです。

 しかも、「テロ特措法」の成立と同時期に行われた自衛隊法の改悪によって、民間人といえども知り得た防衛秘密をみだりに流してはならない、違反者には懲役五年以下の罰則がついたのです。
そうすると、例えば、「秘密」には、防衛秘密や特別防衛秘密という定義があるのですが、防衛秘密にあたらないことでも何か言えば「防衛秘密を守ることに適格しないおそれがある人間」だとか、そういうことになってくる。そうすると、にらまれるとやばいということもあって、だんだんものが言えなくなってくるのです。業務上のことが言えなくなる職場が、黒いシミのようにどんどん職場の中に広がってきています。

もっと理解してほしい、あらゆるものが戦争に協力させられていく仕組みの恐ろしさ
渡辺)
そういう状況のなかで、私たちは思うのですが、自衛隊が海外にでていって「戦争をする国」になることが大変恐ろしいことは、もちろんですが、そういう事態のもとで日本のすべての港や病院などの施設、あるいは官民のサービス、それから日本の企業の生産力など、すべてをアメリカの行う戦争に使えるような仕組みづくりがすすんでいる。このことの恐ろしさも、もっと理解してほしいと思っています。

私たちは自衛隊をよく見ているから分かるのですが、自衛隊というのはある意味では、米軍から見るととるに足らない戦力だと思います。あれだけの圧倒的なアメリカの戦力のもとで自衛隊がいなかったらできないということはありません。むしろ国際的な孤立をごまかすために、自衛隊も来ているというアリバイがほしいということだと思います。
アメリカが一番欲しいのは、特にアメリカがアジアで戦争を起こすときに、日本の施設やサービス、生産力・技術力です。それらを動員できる仕組みをつくりたいというのが、昨年成立した有事法制の最大の狙いだと思います。

 有事法制については、三法が昨年成立しましたが、「国民保護法制」などはこれから出てくるわけで、これからが勝負だと思うのですが、しかしその前に、私たちの職場では国民の徴用が始まっているのです。
上司は、「行かなくてもいいよ」と言います。しかしそれは、「分かってるだろうね?」という感じなのです。
要するに、断ったらこの仕事に向いてないという、不適格者の烙印を押されることになる。
そうなったら、どういう将来をたどることになるのかが分かりますから、断ることが出来ないのです。
まして、いまは成果主義の世の中ですから、なおのことです。
そういう状況下の業務命令ですから、有事法制とか、法律に罰則とか「協力義務」という文言とかがなくても、民間の労働者は、すでに実質上強制的に動員される状況になっているわけです。

動員があらゆる職種に広がっていく
渡辺)
このような状況は、兵器生産職場に限ったことではありません。
商社の方から聞いた話ですが、自衛隊は、例えば、トイレットペーパー一つすら自力で調達することができないそうです。
全部、業者が調達してもってくる。港、港に商社員がいて、自衛隊員の生活物資や食料などを自衛隊に納める。
いま自衛隊が、クウェートやイラクに行っていますが、そこでの生活物資は、どこかの商社から調達している、コメはイタリアから調達しているという話があります。
つまり、兵器生産の職場だけでなく、あらゆる職種から、ある日突然業務の中で戦地に行く、業務命令として命ぜられ、断れない、そういうことが広がっていくということではないかと思います。

「嫌なら仕事を辞めろ」と会社べったりの労働組合
渡辺)
では、このような職場の状況の中で、労働組合はどうしているのか。
 イージス艦「きりしま」が02年12月にインド洋に向け出発しましたが、着いてすぐに発電機が故障しました。
その発電機の修理にということで03年1月23日から私たちの職場の当該部門からエンジニア三人と作業者四人が派遣されました。派遣後にそのことが分かり、ちょうど春闘に向けての職場集会のときでした。私たちは、私たちの仲間が人知れず、「テロ」に遭うかもしれないような危険な所へ仕事で派遣されている疑いがある、だから調査しろと労働組合に要求しました。

ところが、組合の委員長の回答は、「わが社は国防上重要な仕事をしている。現地での修理は不可欠のことで、この業務を否定する者は業務を続けることができない」、嫌なら辞めろということです。労働組合がそうなっているのです。
「連合」の造船重機労連に加盟している石川島播磨労組です。今度、造船重機労連と鉄鋼労連とが一緒になって基幹産業労連となりましたが、このような大きな労働組合が非常に右傾化し、戦争や防衛というのは重要な仕事だという態度をとっているわけです。
ですから、当該の人たちは不安があっても口に出せない、相談できないのです。
不安を口にするということは、自分や同僚が行くことになったことを問わず語りに言っているとみなされて、問題にされるからです。

「安全」を建前に派遣される民間労働者
渡辺)
こうして、労働者は、行くことを断ることもできなければ、不安を口にすることも、相談することもできないわけですが、では、行って問題が起きたらどうなるのか。

 私たちは、防衛庁と厚生労働省に、何度か要請に行っています。要するに、業務命令で行かされるのならば、労働基準法と労働安全法にもとづいて、事業者は「安全配慮義務」というのを果たさないといけないわけです。例えば、急迫する危険がある場合には、速やかに退出することが保障されなければならない、などいろいろあります。

 防衛庁で、現地で修理をした時の「安全配慮義務」はどうなっているのかと聞いたら、担当者は最初、困った顔をしていたのですが、「これは技師派遣契約ではない。修理契約である」と回答してきました。
どういうことかといいますと、防衛庁設置法に、〃自衛隊が足らざるところは民間と契約することができる〃とある、これにもとづいて契約した。
しかも契約は修理契約で、修理する場所がたまたま外国だったにすぎない。「安全配慮義務」については契約を請けた会社側に責任がある、というのです。契約を請けたからには会社が安全だと判断したのだろう、防衛庁は知らないということなのです。
では、厚生労働省はどうかというと、結局は防衛庁に押し切られたようで、「安全配慮義務」というのはあるが、それは派遣した会社の責任だ、と回答してきました。

 小泉首相は、自衛隊派遣の理由を「民間人では危ないから自衛隊を送る」と言っています。
それで、自衛隊員にたいしては「危険手当」や死傷した場合一億円の補償とかがありますが、民間労働者は、安全だという建て前でいくのです。
だから、戦争保険もかけられません。
危険手当を付けるというのは「危険」だと認めたことになるからそれもできない。本当にバカな話になっています。
しかも、それを労働組合が問題にすることもしないのです。

会社や組合に疑問や意見をいう者には徹底的に迫害して沈黙を強要
渡辺)
最後に、なぜこんな職場になったのかということについてお話しします。
資料の六頁をご覧下さい。
これは、石川島播磨重工に限らず、大手の軍事産業にはあると思いますが、ブラックリストです。
平和や人権、あるいは賃上げなどを主張して、労働組合のあり方にも問題提起をするような人間にたいしては徹底的に迫害して沈黙させる。差別をすることによって見せしめにして全体を沈黙させるということです。毎年こういうブラックリストをつくっています。
私たちは裁判の中でこれを暴露することができて、いまかなり追い込んでいるのですが、これは石川島播磨重工の全事業所でブラックリストがつくられていることを示しています。

 Aが「一番悪い人」です。このブラックリストは「ZC管理名簿」と呼ばれています。
「ZC」は、「ゼロ・コミュニスト」の略なのです。「共産主義者を根絶やしにしろ」ということなのです。
それは、日本共産党員の方に限りません。資料七頁の表を見て下さい。長谷川さんという方が「平成9年4月、労組へ苦情申し立て:ランクAへ」と書かれています。労働組合に苦情申し立てをしたら会社にパッと伝わってAランクになってしまうという状態です。それから、別の人には癌や腎炎などの病歴が書かれています。一番下には「歌声サークル加入、奥さんの件」と書かれています。地域で何をしているのかまで調べているのです。

 資料の八頁をご覧下さい。 ZCを推進するための「人勤マン」(人事勤労の担当者)を教育するためのスケジュールです。
ZC・リスクマネジメント教育というのをやっているのです。戦前ならいざ知らずこういうことをしているのです。
九頁の「次席会議メモ」というのは、こういうことを推進している人たちの一番先頭にたっているのは課長の一歩手前の人たちなのですが、資料の十頁のアンダーラインを引いたところを見て下さい。
「公安との情報連絡が上手くいっているか再度点検していただきたい」です。
奥さんが地域で何かをやっているかなど、疑わしいと思われるものは全部載せられるということです。

 私たちもそういう状況の中で、徹底的な差別を受けています。私も17年間一切仕事がないのです。
仕事を奪われたまま、そして新入社員にたいしては「渡辺の目を見るな」と教育するのです。
目が合うと挨拶しないといけない、挨拶をすれば必ず話をするようになる、というので徹底的に孤立させようとしています。 そして仕事をさせない。
ああいうひどい状況になりたくなかったら会社のいうことを聞け、組合のいうことを聞けとなるのですが。

そういうことをやめろということで裁判をおこしています。
ZC名簿の暴露、これも裁判の過程で心ある人が届けてくれたのです。
いま一気に事態が変わってきています。何とか勝利しようと思っています。
そのことによって、職場でものを言える状態、戦争NOと言える状態をつくっていかなければいけないと思っています。よろしくお願いします。(拍手)

世界社会フォーラムに参加して――尾崎真理子さん(大学生)

世界社会フォーラムに参加した二つの理由
尾崎)
こんにちは。私は1月16日から25日までインドのムンバイで開かれていた世界社会フォーラムに参加してきました。
それをかいつまんで報告したいと思います。

 世界社会フォーラムは、スイスのダボスでワールド・エコノミクス・フォーラムという先進国の銀行やWTO、IMFなどの先進国主導の経済体制をつくろうというエコノミック・フォーラムに対抗して、そういうシステムでは人は生きていけない、いわゆるグローバリゼーションに変わるシステムを市民でつくっていこうという趣旨で毎年行われるようになったものです。今年で4回目です。

 私がそれにどうして参加しようと思ったのか、理由は二つあります。
一つは、例えばイラク戦争、イラク派遣、有事法制など、どれだけ反対しても通ってしまうという現実があって、デモンストレーションなども新聞には、わずかしか載らないなど、本当に反対していくことが意味があるのか、力があるのかということを考えていました。
その時に、ハーグ世界市民平和会議という団体があるのですが、そこの会長をしているコーラ・ワイズさんという人のインタビューを聞きました。
彼女はインタビュアーからの、イラク戦争の時も世界中で何百、何十万の人が反対していたけれど結局止めることができなかったのであり、世界市民の世論には力がないのではないか、という質問にたいして、
「私は全然そうは思わない。世界市民の世論というのは、本当に大きな力があって、安全保障理事会や小国がアメリカに屈せずに戦争を許さなかったというのは世界市民の声があったからなのだ」
という趣旨のことを言っていました。その発言を聞いて私は、「そうか」と思った、それが一つの理由です。

 もう一つは、日本と日本の外の温度差というか、例えばイラク戦争のことですが、イギリスでもアメリカでも戦争が一応終わったとされている後も、大量破壊兵器が見つかっていないことでブッシュ米大統領もブレア英首相も責任を追及され続けています。アメリカでは、どこまで効力があるのかは分かりませんが、独立調査委員会もつくられました。
しかし日本では、小泉首相が大量破壊兵器は見つかっていないと質問されて「そのうち見つかるのではないか」と言っても、別に責任が追及されるわけでもありません。メディアによって糾弾されるわけでもありません。この違いはどうしてだろうと思ったことがきっかけです。

報道しないメディアの責任と知ることの大切さ

尾崎)
では、実際に参加してどうだったか。
 日本では、ほとんど報道されていませんが、世界中から十二万以上の人、それこそ沢山のNGOや個人が集まり、人権、軍事、テロなど、あらゆるテーマのセッションがあって、ディスカッションしたりパネリストの話を聞いたりしました。
それ自体は、このつどいでやっていることとあまり変わらないことですが、そこで私が感じたのは、メディアが伝えてこなかったことが本当に大きいということでした。いまはインターネットもありますし、様々な媒体がありますから、すべてメディアの責任にするのもどうかとは思うのですが、私自身の世界にたいする認識というか、世の中にたいする見方をかたちづくってきたのはメディアですので、やはりメディアが伝えないことが本当に大きいと思いました。メディアが報じないことがとても大きい、それが温度差というか認識の違いを生みだしているのではないかと思いました。

 例えば、イラク派兵の問題に関わることですが、「イラク・オキュペーション・ウォッチング」というイラク現地でアメリカの占領政策を監視している団体があり、そこの方のお話を聞くことができました。
本当にアメリカのやっていることはひどくて、証拠もなく、調査もなく、大量に、例えばコーヒー・ショップに米軍が入っていってそこにいる人を全員逮捕して連れていってしまうとか、「調査」と称して深夜でも民間の家に勝手に入っていって「外に出ろ」と言って連れ出した上で家の中を調査するとか、ランダムに銃を発射するとか、それらは「テロリストを捕まえるため」ということで正当化できないと思いました。
「このままではイラクは壊れてしまう」と発言者は言っていました。
そういう政策の一端を担うことに自衛隊も派遣されると思うと、それは絶対おかしいことで、そういうことが分からないと「復興支援か。じゃあ仕方ない」と思ってしまうこともあるので、マスコミの責任というか、本当のことを知ることが大事だと思いました。

 最後に、これからどうしていくかということですが、私自身は、もっと勉強してものを知らないといけないと思いましたし、こういう運動をできるのは私たちだけという認識をもって帰ってきました。以上です。聞いていただいて、ありがとうございました。(拍手)

行政ベッタリの司法を許せない。イラク派兵違憲訴訟を国際連帯で闘おう!
――尾形憲さん
(テロ特措法・海外派兵は違憲 市民訴訟の会)

尾形)
三つ申し上げたいことがあります。
 ひとつめは、テロ特措法違憲訴訟についてです。
 私たちは02年7月11日に、テロ特措法は憲法違反であるという提訴をさいたま地裁に起こしました。
しかし、さいたま地裁はわずか三回の口頭弁論で棄却・却下の判決を下しました。それでさっそく東京高裁に控訴したのですが、高裁でも口頭弁論は、これまたわずか二回です。2月12日に二回目の公判があったのですが、そこでもう結審です。次の4月22日の13時15分から判決を下すというのです。
司法の独立は、いったいどこにいったのでしょうか。行政ベッタリです。

 二つ目は、2月18日付の「毎日新聞」に「自衛官ホットライン」の意見広告が載りました。
自衛隊員が海外派兵を拒否しても一切処分の対象にはなりません。それは、法的根拠がないからです。
自衛隊法では、防衛出動を拒否すれば七年以下の懲役、治安出動を拒否すれば五年以下の懲役となっていますが、PKO法やテロ特措法、イラク特措法にもとづく自衛隊の海外派兵については、自衛隊法との関係では、すべて「雑則」「附則」が根拠になっているので、違反についての処分の規定はないのです。それで政府は、海外派兵のための恒久法を制定して、罰則規定もつくろうとしているのです。

 三つ目は、イラク特措法は法律として成立していないということです。参議院の外交防衛委員会の速記録を見ても、最後の方は混乱で採決されていません。イラク派兵の違憲訴訟を愛知県、北海道に続いて東京でも起こします。
東京では、本人訴訟というかたちで、原告が毎日ひとりずつ、訴状を持って裁判所に提訴します。3月17日から始めます。
 訴状の骨子は弁護士の内田雅敏さんがつくってくれます。弁護団も結成しますが、弁護人も一人の原告になります。司法の独立すらない裁判所に抗議するという意味を込めて、毎日訴訟というかたちの連続波状攻撃を行います。

 テロ特措法違憲訴訟の際には、チャールズ・オーバービーさんやノーム・チョムスキーさんからのメッセージや、海外の十五の平和団体からもメッセージをいただきました。イラク派兵違憲訴訟も国際的な連帯のなかで徹底的に闘いたいと思います。是非みなさんの熱烈なご支持をいただきたいと思います。よろしくお願いします(拍手)。

小泉首相のいう「平和貢献」はまやかし
男性)
私は貿易の仕事を32年間やっています。
03年8月に中東で大きなプロジェクトがあり、地下鉄やダム、ハイウェー、発電所などの仕事を必ず日本がとれるといわれて行ったのですが、状況が変わっていました。日本では報道されませんが、いま中東では、日本の物は買わない、油を売らない、民族や宗教を問わず、一致団結して日本を兵糧責めにするといっています。
小泉首相がいくら「平和貢献」「人道復興支援」と言っても、よその国の人はまったく信用していません。そんなまやかしにのらないと言います。
中国も小泉首相が靖国神社参拝で、北京―上海間の新幹線プロジェクトを日本が請け負う話が、白紙になりました。

いま小泉政権がやっていることは、国を滅ぼす亡国政策です。
テロにはテロの理由がある。アメリカ一国による世界支配にたいする民族主義なのです。
小泉政権が「国際貢献」「平和のため」というのならば、まずブッシュ米大統領に戦争は良くないと説得して、戦争を終結させて、国連の立ち会いのもとに平和貢献をするというのならば理解できるのですが、憲法九条に抵触するようなことをやっているから、ことさら「平和」「平和」と言っているのではないかと思います。(拍手)

働く人たちと連帯してがんばりたい
大学生・男性)
渡辺さんのお話の中で、労働組合のお話がありましたが、本当に許せないと思いました。
それでとても言いたくなったのですが、私は2月15日に、陸上自衛隊が旭川から出兵するというので旭川に行ってデモを行いました。
行く前は、旭川の街はどんなに「黄色いハンカチ」で埋め尽くされているのか、と思っていたのですが、実際見た限りでは、商工会議所と陸上自衛隊の旭川駐屯地の周辺だけでした。住宅街や商店街などにはほとんどありませんでした。

それから、車の運転手の方がデモを行っていた私たちのところにきて、「気持ちはあなた方と同じだ」と言ってくれました。マスコミ報道を鵜呑みにしていたら大変なことになるということと、いま昔のような労働組合が中心となった運動が目につきませんが、イラク派兵反対の意思を持った労働者は、沢山いると思いました。
 軍需産業のなかで闘っている渡辺さんはじめ、労働者と僕たち学生が、本当に力を合わせていかないといけないと思いました。(拍手)

職場での嫌がらせの実態は?
大学生・女性)
「ZC運動」のお話を聞いて非常に驚きました。戦前以上だと思いました。大変なことが起きていると思いました。
渡辺さんが、17年間も仕事を与えられないと言われていましたが、職場ではどういう嫌がらせなどが起きているのかもう少し教えていただきたいと思います。

仕事を奪い、昇給・昇進の遅れ、つるし上げ、職場行事からの排除――渡辺さん

渡辺)
私の場合は、もともと資材調達で輸入関係を担当していたのですが、17年前に、会社側が7000人の人員が余剰だと言いだし、これを労働組合も認めることによって、7000人の希望退職を募ることになりました。希望退職とはいっても、すでに誰を辞めさせるのかというリストができていました。
実際は指名解雇に近くて、連日のように呼びだして「辞めろ」「辞めろ」と退職を強要しました。
辞めないと仕事を取り上げる、職・班長などが中心になって集団でつるし上げる。
「あんたなんか会社にいらない人間だ。いますぐ退職届を書け」と百人くらいでつるし上げたりするのです。
1986年11月11日から、12月25日までの45日間で狙いを付けられた7000人、実際には7000人を超える人が退職に追い込まれる。私たちのように日頃から運動をしている人間は当然ターゲットになったのですが、みんなで頑張って辞めない、退職届にハンコをつきませんでした。

 これでは会社としては、しめしがつかないんですね。
それで、じつに様々な嫌がらせをやってきました。まず、「ZC管理名簿」に載ったら最後、昇給・昇進は極端に遅れます。
これがいま裁判の最大の争点になっています。
それから、私の場合のように仕事を取りあげるというのもありますが、逆に、現場の人なら誰もが嫌がるような仕事を押しつけるということもあります。

それから、職場で徹底的に孤立させるために様々なことをやってくる。
先ほど紹介した「目を合わせるな」というのもそうですが、一番見せしめの効果があるのが、職場行事からの排除です。年末の忘年会や歓送迎会などいろいろありますが、17年くらい前までは全員参加の当たり前の親睦会だったのです。
ところが、会社がある日突然、会社の息のかかった人間を組織して親睦会はもう解散しますと言って、私のところには積立金の割戻金を持ってきました。そうして、私など特定のターゲットにされた人間だけを排除して、新しく別の親睦会をつくったのです。
その親睦会は「民主的労働運動を志向する」集まりだというわけです。

「民主的労働運動」というのは特別な意味がありまして、私たちのいうような労働運動は「階級的労働運動」であって「企業破壊分子」である、だからそうではない労働運動を志向するという集まりなのです。そして、その新しい親睦会が、すべての職場行事を主催するようになります。
最初は、春の花見でした。
石川島播磨重工の田無工場の広い敷地の中には、桜がいっぱい咲いていて、春には職場全員が集まって、花見をします。
夏は、やぐらを組んで盆踊りをする納涼祭を行います。全職場の人が家族ぐるみで、桟敷のなかで会食したり飲んだりするのです。それで、当時、私がいつもの通りに行ったら、「あんたなんか呼んでない」と家族や職場の人たちの面前で言ってくるわけです。それが見せしめなのです。
ああいう目に遭いたくなかったら会社のいうことを聞けということなのです。
仕事がないのも苦痛ですが、この行事からの排除というのも、こういうかたちでやられますから、かなり苦痛でした。

 「目を見るな」「口をきくな」、ちょっとでも口をきいたら「何を話してたんだ」と言われる。
差別する側に回らないと、お前も同じだろうとなる。加害する側にならないと被害者にされる、その中間はないんだということになるのです。
そういうかたちの職場支配が一気に進みました。
心ある人は「おかしい」となるのですが、例えば、私の職場の幹事だった人が「渡辺さんを排除することはできない。おかしいじゃないか」と抵抗したのですが、そうするとZC名簿でCやDがつけられ、出世がすごく遅くなりました。少しでもやったらそうなるという見せしめなのです。

学校現場がもの言えない状況に! 東京都教育委員会に是非抗議電話を!

高校教員・男性)
先ほど渡辺さんが、有事法制がなくても成果主義と業務命令があれば十分民間を管理できるというお話をされましたが、先日NHKで、日立製作所が、基本給さえ下がることがあり得るような能力別の賃金体系をつくるということが報道されていました。ここにも成果主義があらわれていると思います。

 それから、いま、都立高校の教員のあいだで問題になっているのが、「日の丸・君が代」の問題について、東京都教育委員会の通達に逆らっただけで大変な処分が出たことです。卒業式などで教員が正面の「日の丸」に向かって起立し、直立不動で国歌を斉唱するという、戦前の復古調の儀式と同じようなことが強制されるので、これに拒否して起立しなかった教員十人にたいして戒告処分がでました。
これは給料にも影響し、反省文なども書かされて非常に屈辱的です。
労働組合の中では、この処分が三、四回重なると免職になるというキャンペーンが〃右寄り〃の人から行われています。実際にそうなるのかどうかは分からないのですが、ものを言えない状況になっています。

それで、渡辺さんにお聞きしたいのですが、渡辺さんの職場では、業務命令を拒否しての処分というのはどのくらいあるのでしょうか。
それから、今日の参加者のみなさんには、東京都教育委員会にぜひ抗議電話(03―5320―6844or6845)をお願いします。(拍手)

いま学校が、軍需生産の職場と同じに――渡辺さん

渡辺)
昨日(21日)、国立二小の「日の丸・君が代」反対の集会に呼ばれました。
処分された先生のお話しもうかがって本当にビックリしました。本当に私たちの職場で起きていることとほとんど同じような事態がいま学校職場に起こっていると思いました。「戦争をする国」にするためには、戦争を支える教育と、戦争を支える職場、そこに、名前は違っても、「ZC」という人権や平和を主張する人たちは徹底的に迫害するという仕組みが広がっていると思います。いまのお話しは、私も同感です。

 処分の問題ですが、最初はささいな理由をつけて、出勤停止二日や三日などの処分を連発してきます。それが、三回、四回目になると、今度は解雇条件つき出勤停止三日とか四日とかと言ってきます。「解雇条件つき」というのは、もし次に懲戒処分を受ければ即解雇だということなのですが、これは法的にはまったく意味がないとも言われています。私と一緒に裁判をやっている仲間には、この解雇条件つきのまま、闘いを続けて立派に定年を迎えた人もいます。

 いま、身体を張った闘いをされる方が、本当に必要ではないかと思います。
これは軍需生産の職場ではありませんが、昔の電電公社の闘いのなかで「千代田丸事件」というのがあります。「千代田丸」というのは、海底ケーブルを敷設する船ですが、かつて日本海には〃李承晩ライン〃というのがあって、そこまで行くと銃撃をうけるとか極めて危険なときに、業務命令でそこでケーブルを海底に敷設しろと言われた労働者が、それを断りました。
そうしたら、懲戒解雇されました。
この問題では、戦争状態で危険を感じてそれを拒否するのは当然である、業務命令の範囲を超えているという最高裁判決もあります。そういう闘いも必要ではないかと思います。
本当に、教師の職場も私たちの職場と同じだと思います。

1.)労働組合がストライキ権行使で闘う、
2.)自衛隊派遣の実態を暴露すること、
3.)違いを超えた大きな共同行動、が必要

会社員・男性)
「業務従事命令」に関して発言させていただきます。
実際に業務従事命令が出たときに、その職場で拒否できるのはストライキ権を行使した時だけです。
「千代田丸事件」のときも、ケーブル敷設にいく船の船員たちをストライキでやめさせようとした労働組合の委員長などの三役が処分されました。
いまどきストライキ!? と思う人がいるかもしれませんが、業務従事命令を否定できる唯一の手段というのは、労働者にとってはストライキです。ストライキには、職場の労働者全員が参加するものと、指名ストライキという方法もあります。個人を指名して、この人は何時から何時までストライキというやり方です。そういうストライキ戦術というのをいま一度見直すことも必要だと思います。

 私はテロ特措法違憲訴訟の原告の一人で、世話人もしていますが、イラク特措法についても各地で訴訟が起きています。「復興支援活動」と言いつつ、派遣された自衛隊の中で「復興支援活動」に従事するのは120名です。千人以上も派遣される中で、給水活動が三十人、医療活動は四十人、施設大隊五十人、これしか従事しないのです。他は何をしているのかというと警備だというのです。これは名古屋での訴状に出てくるのですが、こういう事実を実証的に一つずつ暴露していく必要があると思います。

 3月20日に行われる大集会に私も参加しようと思っています。
しかし、少し残念なのは、外国と比べると一桁違います。3月20日は十万人を集めるといわれているようですが、大きな運動を、違いを超えてつくっていくという問題意識をみんなで持つべきではないかと思います。
イラク派兵という一致点での大きな共同行動を何回でも波状的にやっていく必要があると思います。
課題と基本的な闘い方が一致するのであれば、行動は統一していこうということを、あらゆる場で提起をしていく必要があると思います。(拍手)

安心して働ける職場をつくることは、国民全部の安心なくらしをつくること

男性)
先ほどの大学生の方の質問にたいして、一言言わせて下さい。
石川島播磨重工の7000人の首切りのときに一気に職場がファッショ化しました。そういう状況の時につくった製品はどうなるか。
2000年から三年連続水漏れ事故を起こした浜岡原発のパイプはその時つくったものです。つまり、安心して職場で仕事ができない状態がつくられていったときには、国民の生活に直接響くようなとんでもない失敗作品が続々と出てきます。同じようなことが、様々な職場で言われます。

これも石川島播磨重工の仕事ですが、東芝石川島グループが、高速増殖炉「もんじゅ」の仕事をしたのですが、温度計が折れて大変な事故になる寸前までいきました。石川島東芝の技術陣は、「もんじゅ」の仕事を下請けにやらせたそうですが、その仕事を受けた町工場のおじさんが、「この図面でやったらこれ(温度計)が折れますよ」と言ったそうです。
ところが、それにたいする答えが、「科学技術庁と通産省がOKを出した図面を町工場のお前に言われて変えられると思うか」だった。
その結果が、大事故寸前の恐ろしい事態につながったわけです。
 つまり、本当に安心して働ける職場をつくる運動というのは、実は日本国民の暮らし全部を安心させていくような運動につながっているのだということです。

 それからもう一つ、なぜそういう職場になったのかということについてですが、『湾の篝火』という小説があります。
これは日立製作所の技師が書いた小説ですが、中身は石川島播磨重工の十数年にわたる闘いの記録です。
これを読んでいただくと非常に生々しく職場でやられたことが分かります。
例えば、田無製造所でいじめられ抜いた人は、職場でその時間が来ると食べていたものを全部吐き出してしまう程の恐怖感におそわれながら頑張りました。その人が崩れないで頑張っていると、その人の奥さんが教員をしているので、勤務している学校の周辺に「○○先生はアカだ。アカい教育者はいらない」というビラがバーッと貼られる。
誰がやったのかは分かりませんが見当はつきますよね。そういうことが日常的にやられるような社会がいま急速につくられているということです。
そういう内容が出ている小説がありますので読んでいただければと思います。(拍手)

渡辺さんが闘う支えとしているものは?

大学生・女性)
渡辺さんのお話を聞いて本当に大変な中で頑張っていらっしゃると思いました。私だったら、どうだろうかと思いながらお話しを伺っていました。
これほどの迫害を受けながら、渡辺さんががんばることができるのはなぜなのか、どういうことを考えたり、支えにして頑張っていらっしゃるのか、お聞かせ下さい。

仲間がいること、議論すること、大きな気概を持って闘うこと――渡辺さん

渡辺)
最初は、自分にたいする迫害があって「こんちきしょう」という感じだったのですが、もし、最初から、一気にいまの状況になっていたら、私も音を上げていたかもしれません。しかし、攻撃はだんだん来るんですね。そうすると、私の方もだんだんと覚悟が座ってくるのです。それに仲間もいましたし、いろいろと相談し議論しながらやってきました。

 それから、この差別が結局会社そのものもダメにしている、製品もダメにしているということです。
高度なものをつくるためには、本当に教えたり教えあったりする、そういうものづくりの風土が職場には不可欠です。
それが、職場に差別とリストラと成果主義が持ち込まれるならば、全部壊れていく。他人のミスは自分の得になると考えてしまう。自分の優れた技術は若い者に教えない。教えたら自分がリストラされてしまうからです。

 これを許していたら、職場が、経済が、社会全体が本当にダメになってしまう、だから闘うと、それくらいの気概を持つとニコニコ言えるようになるのですね。お互いにそうやって励ましあってやってこれたかなと思います。(拍手)

主催者閉会あいさつ

もっと大きな運動をおこして、日本の闘いを全世界に知ってもらおう!
――浜崎 和馬さん
(憲法擁護・非核平和を進める中野区民の会/東京土建中野支部委員長)

差別が職場や社会をダメにすることを私も実感
浜崎)
ごくろうさまです。憲法擁護・非核平和を進める中野区民の会の事務局の浜崎です。
 渡辺さんのお話の中で「ZC管理名簿」のことがありましたが、同じようなことは、他の大企業でも行われていると聞いています。
入社したときに、家族全員の名簿を出せ、いま何をやっているのかを全部明記しろと言われるそうです。
身内に労働組合運動をやっている人がいると、本人にどんなに能力があっても、例えば最先端技術の部門などには決して配置されないそうです。最先端技術というのは「国家機密」扱いされているものが多いからです。
 先ほどお話があったように、職場での差別は、良い製品をつくる、という意味でもマイナスです。
職場での差別をなくする闘いというのは、とても大切です。

韓国の労働組合との交流で痛感、マスコミの問題
浜崎)
それから、一昨年に韓国の労働組合の方が東京土建との交流に来ました。
まだ35,6歳の若い方々でしたが、その時に、「なぜ日本の労働組合というのは闘わないのか。なぜデモをやらないのか」と聞かれました。
こちらが「デモはしょっちゅうやってますよ」と言ったら、「いや、一回も韓国の方では報道されていない」と言われました。
先ほど、お話しがありましたように、確かに、イラク派兵反対で一万人が集まっても、どこの新聞も取り上げてくれません。
韓国の方たちには、「(デモは)やっている。でもマスコミが報道しないんだ」と言いました。

労働組合を強くすることが闘いの基本

浜崎)
労働組合も総評が分裂して、「連合」と全労連とに分裂して、労働組合のなかでもいろいろなかたちで差別があるということに、日本での運動が低下している一つの原因があると思います。実際そうです。
職場に入ってどういう運動をやればいいかというお話しにもありましたが、やはりみんなで労働組合を強くしないといけない。これが先決ではないかと思います。自分たちの国は自分たちでつくる。そのためには労働組合を強固にして、自分たちの生活を豊かにすること、これが基本ではないかと思います。
そのためには、イラク問題についてはもっと大きな運動をおこして、この国の良さを全世界に知ってもらわないといけないと思うのです。

いまの日本政府は本当に良くない
浜崎)
小泉首相は変なことばかり言いますが、本当に良くないと思います。
先日、女子高生が5000筆のイラク派兵反対の署名をもっていったことについて、小泉首相は「先生は政治運動より教育を」と発言したということです。これは、こんなことするなという言い方ですよね。これが総理のすることでしょうか? 
高校生がこういう考えをもっているということに耳を傾ける努力もしないで、最初から否定するような国になってしまったというのが、いまの現状だと思います。
今日は、問題提起がかなりありましたので、これからみんなで闘わなければいけないと思います。よろしくお願いします。
今日は長い時間ありがとうございました。(拍手)

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