6・20戦争国家への歩みに反対するつどい
 ――派兵・改憲にどう立ち向かうか――

2004年6月20日(日)  東京都ラパスホール

《主催》民主主義と平和憲法を守る文京連絡会
    日本国憲法をくらしに生かす会
    テロ特措法・海外派兵は違憲 市民訴訟の会
    憲法擁護・非核平和を進める中野区民の会
    改憲とあらゆる戦争法に反対する市民ネットワーク21

プログラム
開会あいさつ  川田 正美さん(民主主義と平和憲法を守る文京連絡会)
問題提起   吉田 健一さん(弁護士)
         三輪  隆さん(埼玉大学教授)
ディスカッション

閉会あいさつ
 相原 龍彦さん(憲法擁護・非核平和を進める中野区民の会)

ーー続きーー ※以下はつどいにおいての全発言を記載したものです。<2>          <   2  >


イラク派兵違憲訴訟にご支援を!
――尾形憲
さん(テロ特措法・海外派兵は違憲 市民訴訟の会)

尾形)
お手元にイラク派兵違憲訴訟の口頭弁論の日程が書かれた資料があると思います。ぜひ傍聴をお願いしたいと思います。イラク派兵違憲訴訟は北海道から始まり、愛知、東京、大阪、静岡と全国に及びつつあります。山梨、千葉でも訴訟の準備が進められています。本日のつどいは戦争国家への歩みに反対し派兵・改憲に立ち向かうという集まりですが、その具体化の一つとしてこの違憲訴訟があります。

 東京では3月17日から始まり、連日、本人が提訴しています。原告になって、あとは弁護士任せというのではなくて、本人が「海外派兵は違憲である」と訴える本人訴訟です。一昨日まで64人が訴訟を起こしました。今のところ102人が原告になっており、なかには中学生の原告もいます。土・日を除いて連続波状攻撃をします。
 それはなぜかと申しますと、「テロ特措法・海外派兵は違憲 市民訴訟の会」は2002年7月に原告253人をもってさいたま地裁に提訴しました。ところが、わずか三回の口頭弁論で棄却、却下です。東京高裁に控訴しましたが、これもまたわずか二回で棄却です。このように、こと憲法九条に関する違憲訴訟については、自衛隊は違憲であるとした長沼訴訟以外は司法は全然タッチしておりません。しかし自衛隊が海外に行って罪のない市民の殺傷に参加するのは明白に違憲です。三輪さんがおっしゃったように、私たちが加害者になっていることは絶対許せないことです。今までの司法の処置にたいする波状攻撃として本人訴訟をやります。訴状のひな形は弁護士がつくってくれます。いろいろアドバイスもしてくれます。みなさんにお願いしたいのは、できれば原告になっていただきたい。またこの訴訟の会の会員になっていただきたいし、ぜひ傍聴に参加していただきたいと思います。そしてカンパもお願いします。おしゃべりだけではなく、具体的な行動をしていただきたいと思います。よろしくお願いします。(拍手)

ディスカッション

いまなお小泉政権の支持率が下がらないのは?
男性)
国民意識の問題として小泉政権の支持率が下がらないのは何故なのでしょうか。そうなるのは、〃お上〃に逆らってはいけないという意識や、石原都知事のような差別意識が存在しているのではないでしょうか。

自衛隊合憲の立場の人と一緒に運動を進めて力になるのか?
大学生・女性)

九条改憲を阻止するために、いま専守防衛の自衛隊は合憲という立場に立つ人たちとも一緒にやっていこうという動きがあります。確かに大きく運動をつくることは大事ですが、野中広務・元自民党幹事長や加藤紘一議員とも一緒にやっていこうという運動は、いまの改憲を阻止する力になるのか疑問です。「テロの脅威があるから日本を守らなければならない」という改憲派の主張に対抗していけないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

公明党の対応、「九条の会」結成とそれにたいするマスコミの対応についてのお考えを
佐々木順二さん)

三輪先生にご質問します。「改憲の政治日程メモ」に「05年秋三党改憲案(自民:11月結党50年記念までに改憲草案、民主:06まで改憲草案)」と二党のみについて書かれていますが、ミスプリントなのか公明党のことを触れるつもりだったのかお聞きしたいと思います。
 それから、お二人に質問します。吉田先生のレジュメの二頁に「5(3)運動づくり」は先ほど触れられなかったので、もう少し詳しくお話し下さい。
 六月十日に加藤周一さん、井上ひさしさん、小田実さんら九人が「九条の会」をつくりました。加藤周一さんは、組織をつくるわけではないが「横のつながり」という点を強調しておられました。私はこれは今後の運動にとって一歩前進だと思います。この記者会見をNHKや『朝日新聞』は報道しましたが、『産経新聞』『読売新聞』は黙殺しました。「九条の会」の動向について、そしてこれに対するマスコミの黙殺や過小評価について、お考えをお聞きしたいと思います。

小泉首相の問題を指摘しないマスコミ。
私たちの工夫でネットワークを広げ対抗すべき

吉田)

小泉首相の発言には重大な問題が多く含まれているにもかかわらず、批判的な報道がほとんどされていないと感じることが多々あります。年金問題も、小泉首相は実際には会社で働いていないのに厚生年金の扱いを受けていたというのは、犯罪にも該当することだと思うのですが、「いい社長がいる」という話でごまかしました。総理大臣や議員の資格に関わる問題だと思うのですが、マスコミもほとんど問題にしませんでした。憲法についても、憲法を非難したり「自衛隊は軍隊だ」と本音で言ってしまうのですが、それについての問題提起も弱かったと思います。

 それどころか逆に、「自分の言いたいことを言うのは良いことだ」と〃好感〃を持っている人もいるようです。それを批判しきれていないマスコミの問題を強く感じます。このようなマスコミの問題が世論調査の結果に影響していると思います。自衛隊の派兵が既成事実化していくなかで「やむを得ない」「イラクで自衛隊が役に立つことをしている」という国民意識がつくられるのも、非常に限られた情報を見て判断せざるを得ない状況におかれているからだと思います。

 では平和を考える人が少ないかというと、それは一概には言えないと思います。三輪さんのお話しにもありましたが、イラクで日本人が身柄を拘束された時に、自衛隊をイラクから撤退させる、米軍の戦争に協力すべきではないと訴える若い人々が首相官邸前などに集まりました。私どもが一緒にやっている弁護士が劣化ウラン反対のネットワークをやっている関係でこの運動の中心で頑張った人もいるのですが、予想以上の人たちが声を寄せて運動が広がったと聞いています。マスコミの問題もありますが、私たちが工夫してネットワークを広げていくことがやはり大事だと思います。

反対運動を阻害するために煽られるアジアの人々にたいする差別意識

吉田)
運動が広がることを妨げるために、政府はいま、北朝鮮や中国への蔑視的な意識をより広げようとしている面があると思います。石原都知事は中国やアジアから来た外国人労働者が悪いことをしていると発言しましたが、それを国民がそのまま受け入れてしまう土壌があるし、またマスコミがそれをきちんと批判しないことによって、また差別意識がつくられるという〃相乗効果〃になっていると思います。

 私は先日、中国から来た方の窃盗事件の国選弁護をしました。その方は、日本に来たけれども結局言葉ができない、仕事がない、生活ができない、それで窃盗事件に加わってしまいました。この場合、日本人がやった同じ程度の犯罪と比べると量刑がかなり重いのです。その中国の人の経済的な実態を無視して、犯罪に走ったという結果だけをみて、検察庁も重い求刑をします。単純に外国人の犯罪を強調することによって国民にも差別意識を広げるし、中国や韓国や北朝鮮の人たちと平和のために連帯していこうという動きを阻害していると思います。
 それから、日弁連の会長がイラク戦争反対、自衛隊派兵反対の声明を出しましたがほとんど記事にもなりませんでした。反対の声をマスコミが取り上げないという動きが顕著になっているので、何とか打開するためにもいろいろな工夫が必要だと感じています。

運動が若い世代に引き継がれていかない学校教育、メディアの問題

三輪)
「改憲の政治日程メモ」に「三党改憲案」と書いたのは公明党について確認できなかったからですが、他の政党がやれば公明党もやると予測されます。
 反戦・平和運動が少数派になっている状況を直視する必要があります。いまの深刻な事態に立ち向かっていく上では横に手をつながないといけない、連帯しないといけません。

 これまで立法関係については、野党が国会で追及して、それをマスメディアが取り上げて少し世論が動いていくというパターンだったと思います。しかし、そもそも国会のところが実に弱くなっています。
 そしてレジュメ三頁「5 ロ)市民生活における孤立化・周縁化が進んでいる」で書いたことは、例えば今日は若い方もいらっしゃいますが、やはり年齢分布を冷静に考えた方がよいと思います。もう十年以上前から参加者の高齢化が進行していると思います。若い世代になぜ引き継いでいかれないのか、その理由を突き詰めていく必要があると思います。いろいろな理由があると思います。一つは学校教育、一つはマスメディアです。

 社会科の教員を目指している大学生は、憲法については条文暗記という教育しか受けていない人が大部分です。中には、教科書には出ていたが入試に出ないから勉強しなかったという人もいます。つまり学校教育の中で、社会問題について考えたり、暗記ではなくて自分の頭で考えるという経験がどんどん減っていると思います。それどころか、「日の丸・君が代」の強制に見られるように、教育現場自体が反民主的で抑圧的な状況がだんだん支配的になっています。ものを考える環境ではなくなっているのです。

 では学校以外では、どういうチャンスがあるのでしょうか。『世界』三月号でイタリアのことを紹介しましたが、例えばこれが良いとか悪いとかいうのではないのですが、イタリアでは七月から九月まで夏休みです。若い人たちは何をするかというと、子どもたちとキャンプなどに行ったり、ボランティアをします。日頃も自由時間が多く、いろいろな社会団体に参加するチャンスが多いのです。伝統的に学生はアルバイトをしないという社会的な伝統もあります。もちろん、アルバイトをしている人も結構いるようですが、学校外でいろいろな人たちとぶつかるチャンスが非常に大きく、その中でいろいろなことを学びます。日本の若者たちはどうでしょうか。アルバイトをしている学生は私が見る限り、けっこう社会経験が豊かだと思いますが、もう少し見るとどうなのでしょうか。社会的な問題にぶつかるチャンス自体が非常にやせ細っていると思います。

 だいたい若者は大人社会を反映しますが、考える時間と討論できる関係がやせ細っているのではないかと思います。どんどん労働が厳しくなっている中で、例えばサービス残業の問題や、自分の子どもの進学や介護問題などの悩みなど、決して個人では解決できないような共通の問題についてざっくばらんに話す時間やチャンスがどんどんなくなっているのではないでしょうか。ある学生が教えてくれたのですが、サミットの記念撮影の時に小泉首相がどこに立つのかがテレビで繰り返し報道されたそうです。それから、いわゆる拉致被害者の子どもたちが帰国したことも、二、三週間も追っかけ番組のように報道されます。つまり、社会問題を芸能番組などの身近なお話しのように切り縮め、そのようなものとしてしか社会問題が理解できないようになっている人が多いのではないかと思います。「拉致被害者の会」の人たちの、素朴な、「断固かえせ」という発言は理解できますが、これが外交の手段として使われていることには問題があります。ところが、国民の少なからずの人が外交というのはそんなものだろうとしか理解できないようになっているのではないかと思います。こうなっている若い人たちに働きかけるために、こういう集会に集まっている私たちがなぜ来ているのか、私たち自身が社会的な問題に関心を持つに至った動機をふり返ってみることがヒントになるのではないかと思います。若い人たちには、私たちが考えたり悩んだりしたようなチャンスがなくなっているのだと思います。これとのたたかいは非常に難しい問題があると思います。

 メディアの問題について少し言います。このかんいろいろな記者と接触する機会がありました。そこで気がついたのですが、彼らは大企業に就職しているという意識なのです。その人たち自身が、社会の深刻な問題に向いていかないのです。私たち自身が報道をしっかりチェックする、ある段階では朝日新聞や毎日新聞や読売新聞にもデモをかけてもいいと思うのですが(笑い)、そういう私たち自身のメディア対策が必要だと思います。

お互いを仲間だと認め会い、違いについて議論しながら連帯する必要がある

三輪)
連帯の問題ですが、六〇〜七〇年代は次のようなことがありました。私はレーニンの『国家と革命』をよく読んだのですが、ある課題をめぐって反対するだけではまだ十分ではない、反対運動の内部でいろいろな違いの意見を討論しあい、どれがいま大事なことなのかを競い合う、つまりフロントを競い合うというかたちで運動全体が盛り上がっていくというかたちでした。しかしそれは、当時は反対運動の力があったからこそ、そのように内部で競い合って運動が盛り上がるという側面があったかもしれませんが、現在のように運動が少数になっている時には内部で競い合っていると十の力が五と五に、五が二と二と一になるというように分裂する方向にしか働いていかないのではないかと思います。運動の内部では違いはあるけれども、共同できるところは共同していくというような頭の切り替えが必要だと思います。

 もちろん、こうすると嫌なことも多いと思います。先ほど質問が出たように、私も「自衛隊合憲論」の人と派兵反対という一点でたたかっていけるのかは疑問です。しかしある段階では、改憲論の提案の内容によっては、そういう人たちと手をつなげる部分もあるのではないかと思います。

 それから先ほど非武装論について突き詰めた方がいいのではないかと言いました。その点では、私は社民党にも共産党にも不満を持っています。しかしそれを言っていては、いまは何もできないと思います。議席数の問題があります。不満はあるけれども、いまは一致できるところで一致するのが大事だと私は思います。ですから、片目も、場合によっては両目もつぶることもあると思っています。そうすると確かに不一致点はあって気分が悪いのですが、ここは違うのではないかと議論していけばよいのだと思います。

 しかしながら、その点については、私たちはお互いが異論が出るということにまだ慣れていない、逆に言うとエール交換をして内輪で盛り上がるということに〃癒し〃を求める傾向があるように思います。時々そういうものを感じます。私は、いろいろな憲法や平和に関わる集会に講師として呼ばれますが、やはりエール交換的な発言が多いのです。異論を出すことを少しはばかって、それはやめましょうとなることが多いのです。先ほど言った「一致点を」ということと矛盾するかもしれませんが、違う意見が出ても「面白いな」と受けとめるような雰囲気をどうつくっていくのかということも、同時に必要ではないかと思います。そしてそれは、自分たち自身が試行錯誤しながら進んでいる仲間としてお互いに認めあおうということだと思います。

平和憲法擁護勢力の非協力・分裂状態をうち破るために、下からの声が重要
三輪)
レジュメ「5.運動」の「2 平和憲法擁護勢力の非協力・分裂状態」で書いていることは深刻なことだと思います。私は、今度の参議院選挙で平和勢力の統一が必要だと何回かいろいろなところで発言してきました。そうすると、無理矢理一緒にさせられるという感じで受けとめられ、非常に否定的な反応が返ってきます。力を合わせることを日本語にすると「統一」という言葉になると思うのですが、これに違和感をもつほどに、戦後の日本の平和運動は統一が成功してこなかったと思うのです。その結果、構造的に分裂状態になっています。8月6日、9日というのは原水協と原水禁は別々に集会を開きます。憲法運動でも憲法会議と市民連絡会というように分かれています。

 ここにいらっしゃる方は関係がないのであえて言いますが、分裂が何十年も続くと専従の方にとっては統一されたら困るという事情も出てくると思います。運動が伸びているときなら自分たちのポストは安泰だからよいのですが、しかしやせ細っているときの統一はリストラをもたらしかねません。だから絶対に統一したくないのです。選挙の場合ははっきりしています。神奈川、広島、東京でなぜ候補を一本化できないのか、片方をおろさなくてはいけないからだと私は思います。これは、結果が問題になる政治の世界からいえば実に愚かしいことです。しかしそれだけ分裂が構造化していて、それだけの困難があるからだと思います。

 どうやってうち破るか。私は下からの声しかないと思います。一緒にやれという声が共産党や社民党に行けば、5月3日にパフォーマンスするだけではなくなると思います。そしてこれは投票の前までチャンスがあると思います。沖縄で統一候補ができたので絶対に応援しないといけないと思うのですが、沖縄で出来たことがなぜ出来ないのかという声を突きつけていく、本当の理由を聞いていく、これが長期的にいえば社民党や共産党をもり立てることになると私は思います。改憲草案や国民投票は議席に関わることですから、選挙がとても大事だと思います。運動の統一もできないし、3月20日の集会も一緒にできない状態の時に選挙での統一なんて夢のまた夢だと思われるかもしれません。確かに難しいことですが、やはり声をあげていくしかないと思います。これがなければ2007年もいまから負けが決まると思います。七月までに少しでも多くの選挙区で平和統一候補をどれだけつくるか、あるいはその方向に向けての声があがるか、たとえ実現しなくてもこの声が強まるということが、2007年により悪くない結果をだす土台になると思います。

 「九条の会」について、私も一歩前進だと思います。しかし、名士が上から呼びかけるかたちは限界があると思います。賛同署名をしたり、講演会を開催するためにどこかが事務局をやらないといけません。それは誰がどうやってやるのでしょうか。そう考えれば絶対下からの支えが必要になります。下からの、それぞれの地域や場所で志を共にする人たちが、いろいろな不一致点はあっても協力していくことの積み重ねがあって、その上に呼びかけ人がのっかるのであれば意味を持つけれども、名士が上から呼びかけるという時代はもう四十年前に終わっていると思います。加藤周一さんがおっしゃっていた「横の連携」を実現するために、私たち一人一人、いろいろな小さな団体の横の連絡をどうつくっていくかということが大事だと私は思います。(拍手)

司会)
ありがとうございます。いまの三輪さんのご発言についてお感じになるところがあれば、吉田さんからもご発言いただければと思います。

自衛隊合憲論者であっても、派兵反対や専守防衛に徹するべきという人とも一緒に声を
吉田)
自衛隊合憲論者と一緒に運動できるのか、どう問題が出てくるのかについて、三輪さんがおっしゃったことはそうだと思います。一つ付け加えますと、改憲派はいま何を目指して改憲するのかというと、まさに自衛隊を海外派兵するためです。その点について合憲論者の中にもいろいろな人がいますが、自衛隊の海外派兵はおかしいとか、専守防衛に徹するという原点の範囲で厳格に考えている方はいっぱいいます。北海道の箕輪登さんもその点で裁判を起こしているわけで、そういう方たちとも手を結ぶ条件はかなりあるのではないかと思います。だからといって「自衛隊は違憲」だという意見を「合憲」にしなければいけないということではありません。私自身は自衛隊は違憲だと思っているし、自衛隊の問題点はきちんと指摘して批判の声を強めていく必要があると思いますが、そういうことと合憲論者と一緒に運動するということとは別問題だと思います。改憲を許さないために、場合によっては一緒に声をあげることも出てくると思います。

 「九条の会」については、いま三輪さんが指摘したような問題があると思います。しかし、呼びかけを本当に力にできるかどうかは、呼びかけを受けて各地域の様々な人たちがどういう声をあげていくか。いままで一緒にできなかったことを、アピールを受けて一緒に考えようと、より積極的に前に向いてやっていくしかないと思います。(拍手)

改憲派は九条だけではなく、基本的人権も否定しようとしているのでは?
大学生・女性)
「読売改憲試案」と「自民党改憲案」を読んでビックリしました。「基本的人権は侵すことのできない永久の権利」という言葉がゴッソリ抜けていて、「思想・良心の自由」も「集会・結社の自由」もありません。その上で何があるかというと「国防の義務」が国民に課せられ、首相が非常事態宣言を出せば基本的人権を制限できるとまで書かれています。平和主義だけではなく、憲法の柱の一つである「基本的人権の尊重」まで否定されていることをもっと問題にしていくべきだと思います。

「護憲的改憲論」への批判が必要では?
大学生・男性)
このかん『朝日新聞』は護憲の論陣を張ってきたと言われていますが、今年の5月3日の社説では改憲に反対とハッキリと書いていません。九条に関しては自衛隊の存在を憲法に明記して、しかしその役割に歯止めをかけていこうというのです。これは「護憲的改憲」という憲法の理念を生かすものだ、それも一つの考えではないかと書いています。しかし自民党の改憲案でも「戦争放棄」はもちろんそうだ、しかし自衛隊を軍隊として明記しようという案を出しているのであって、護憲的改憲論のような主張では対抗できないと思いますが、いかがでしょうか。

「個人の自律」など、改憲派の巧妙な言い方への批判を
会社員・女性)
「読売改憲試案」の解説には「前文に『自律』と『相互の協力』の精神」を新しく盛り込む、これが「国の理念、基本的価値」だと書いています。「自律」というと、自主性を発揮する良いもののようにも読めますが、国民の権利は「国の安全や公の秩序」といった「公共の利益との調和を図」ると書いていて、憲法理念がガラッと変わっています。イラク派兵以降、派兵反対のビラを撒いたら逮捕されたり、「日の丸・君が代」がよりいっそう強制されたり、ファシズムとでもいうような状況になっています。「個人の自律」が大切といっても国家に批判的であったり、従わない「個人」は否定し、あくまでも国家に忠実に従う〃自主性〃をもった「個人」ということだと思います。このような改憲派の巧妙な言い方を批判する必要があると思います。

新聞社へのデモや不買運動も必要では?
女性)
横のつながりをつくる上でいくつかご紹介します。
 小泉首相には婦女暴行逮捕歴が二回あり、いまこの問題で裁判をしています。7月15日に東京地裁で三回目の裁判を行います。それから、官房長官が機密費を使って女性の新聞記者にケーキをごちそうしたということもあるそうです。こうした問題もぜひ取り上げてほしいと思います。
 新聞社にたいしてデモをしたり、不買運動をすることも必要だと思います。

都教委の「日の丸・君が代」強制と教員の大量処分に抗議を!

高校教員教員・男性)
「教育基本法改正」の中間報告で「教育行政は、不当な支配に服することなく」と書いています。今の教育基本法は「教育は、不当な支配に服することなく」ですが、全く逆です。私たちのような「不当な勢力」に屈してはいけないというように変えたいのです。また「地方公共団体」と書かれていますが、これはおそらく教育委員会的なものをつくるのでしょうが、「君が代」を強制する「責務」を有するとはっきり書いています。03年10月23日に東京都教育委員会が出した「通達」は、教員が国旗に向かって国歌を斉唱するというとんでもない内容で、240人が「不起立」等ということで処分されました。

 6月8日の都議会で、自民党の古賀議員が誘導的な質問をして横山教育長とやりとりしました。「日の丸・君が代」を児童生徒に指導することを職務命令でやらせるべきだ、教員だけではなく児童生徒も「君が代」斉唱の時に起立しろと指導せよ、座る自由があると言ったら処分だ、と。こういう怖ろしい段階にきています。本当に思想・信条の自由にたいする弾圧です。都教委がしつこく「職務命令を出せ」と言っていると『サンデー毎日』で都立西高校の校長が語っていました。ぜひ東京都教育委員会に抗議の電話やファックスをお願いします。

 今日は、防衛計画大綱見直しや派兵恒久法などの大事なお話しがありました。安全保障と防衛力にかんする懇談会が4月27日に初会合をもち、今秋に最終報告を出すと言っています。ここでは武器輸出三原則を見直すといいます。恐いのはコスト論です。戦闘機をつくるためには百億円かかるが、武器輸出三原則をはずして共同開発すれば四十億円ですむとか、安上がりにするために武器輸出三原則を崩すのは本当にこわいことなので、これへの抗議電話をぜひお願いします。

とんでもないと声を上げて指摘しにくい状況がつくられている――三輪さん

三輪)

もし「読売改憲試案」や「自民党改憲案」が全部通れば、日本は国際人権規約からいって全部赤信号がつく国になります。「読売改憲試案」や「自民党改憲案」は、国家と市民あるいは国家と人々との関係付けについての憲法の考え方を根本的に転換するためのキャンペーンだと思います。

 これを憲法研究者などが決して問題にしていないわけではないのですが、まさかこんなことまで出来るはずがないと安心している部分もあると思います。「読売改憲試案」や「自民党改憲案」はとんでもない構想ですが、とんでもないと声をあげて指摘しにくくなっているという状況もあります。憲法研究者は約六百人いるのですが、大部分の人にとっては読売案などは「とんでもない」というのは当たり前のことです。しかし声をあげてこれを批判する人は、九条について「非武装でいけ」というくらいです。しかもこれも絶対的少数派で、少数の先鋭的な部分しか発言しない状況があります。

 みんなが問題にしてよいことですら、つまり自衛隊合憲論、自衛隊派兵に賛成する人ですら問題にしてよいことだと思うのですが、憲法研究者の中でも問題にできない雰囲気が少しずつ強まっています。しかしこれは憲法研究者だけが特殊例外ではないと思います。

もっと議論する場をつくる工夫が必要

三輪)
ではどうするかですが、私たち自身が議論の場をつくる工夫をしていくことがもっと大事だと思います。先ほど最後に発言された方は、いろいろな情報をお話しされました。つまりみなさんは、言いたいことがたくさんあると思いますが、それに比して議論する場が余りにも少ないです。長時間労働が日常化していて、たまの日曜日に集まることがどんどん厳しくなっています。若い人も同じような状況にあります。その中で、集まったり意見交換をしたりする場所をどうつくっていくか、もっとそういう工夫が必要だと思います。「デモ」とか「パレード」とかの呼び方をめぐっての議論がありましたが、それ以前に大事なのは、まず人が集まることができていないことです。

 あえて言うと、私は〃カネと色〃というのは大事だと思っています。安くおいしい物が食える、そして色々な人たちと出会えるという意味での〃色〃ですが、そういう場所を私たちのイニシアティブでたくさんつくる、そうするとそこで議論できるのではないか。確かに自衛隊合憲論では対抗できないと思うから、私はそういう人とも議論したいです。議論するためにも、そういう人たちと一緒に話し合う場所をつくることがとても大事だと思います。そしてお互いに知り合って、結構いい奴だなということから話が始まって、そういうところからも始めなくてはならないと思います。

九条改憲とともに人権規定の改憲も問題にすべき。
アジアの運動に学び、連帯を!――吉田さん


吉田)

先ほど出された護憲的な立場での改憲とか、公明党が言っている「加憲」、新しい人権規定を加えるというかたちでの改憲については、非常に危険だと思います。このような考え方では、「新しい時代にあった憲法をつくる」流れと一体となって、憲法の基本的原則も変えてしまおうという流れにのみこまれてしまう危険があると思います。そこはきちんと問題を指摘していくべきだと思います。

 それからお手元の資料に掲載されている「読売改憲試案」は「抜粋」ですから、全文をチェックした方が良いと思うのですが、人権の規定などは、一見すると条文上は、現行憲法とさほど変わらないと思います。ただご指摘されたように、質的なことや憲法の人権保障の考え方については全然違う内容になってしまうと思います。一つは、憲法というものがどうやってつくられ、どのように機能してきたのかの原点をきちんと確認してする必要があると思います。つまり、人権はたたかいとってきた、国が一般の人々の権利を認めないのを国に認めさせるためにつくられたのです。つまり権力を縛るのが憲法なのです。しかし今度の「読売試案」などは、まず自分たちで頑張りなさい、という形で国の責任をないがしろにする一方で、国の安全や公共のために人権が制限されても仕方ないということを非常に強調していると思います。それは、いま財界を含めて弱肉強食の社会をつくろうという狙いがあらわれているからです。

 改憲派はこういうことを九条の改憲ととともに目指しているものだ、人権や生活の問題をそういう方向でつくろうとしているのが改憲なのだということを批判しながら、いまの憲法を生かしていくことの意味を広く訴えていくことが必要だと思います。それは労働組合などで闘って要求を実現しようと頑張っている人たちと、憲法の問題でも連帯できる接点ではないかと思います。

 6月13〜14日にアジアの民衆社会運動の集まりが韓国で開催され、弁護士の仲間も参加しました。先ほどの三輪さんのお話しにもありましたが、まさに二十代の人たちが歌って踊って行進をするという運動を展開して、私の友人は四十代、五十代でとても目立ったそうです(笑い)。韓国やアジアの新たな運動から学び、連帯していく必要があると感じているところです。以上です。(拍手)

良い記事には激励を!
女性)
人間はけなされるよりも褒められる方が好きです。マスコミにたいしては、良い記事があったら「この記事は良かった」と伝えていただきたいと思います。そうしないと今のマスコミの反動はおさまりません。新聞記者たちを勇気づけることも重要ではないかと切実に思っています。(拍手)

司会)
ありがとうございます。まだまだお話し足りない部分がたくさんあると思うのですが時間となってしまいました。今日の討論はこれでお終いにしたいと思います。私たち主催団体の有志は、昨年の総選挙に際して、三輪さんの提起もあって、社民党と共産党に統一候補を擁立してほしいという申し入れもしてきました。派兵・改憲にどう立ち向かうかということについては、ある意味では結論ははっきりしているところがあると思います。つまり連帯を、共同をいかにつくっていくのか、三輪さんがおっしゃったように、われわれの運動のなかには歴史的な不幸というものがあるわけですが、それをのりこえていかに広い連帯をつくっていくのか、ここに関わっていると思います。それを具体的にどうするのかということで、お互いに知恵を出さないといけないと思います。私としてもお話ししたいことはいっぱいあるのですが、時間もありませんので、今のことを申し上げて司会の締めくくりの言葉としたいといたします。(拍手)
 それでは、今日の議論を踏まえて閉会の挨拶を「憲法擁護・非核平和を進める中野区民の会」の相原さんにお願いいたします。

主催者閉会あいさつ

大変なときだからこそやりがいがある!
正しいものが堂々と生きることのできる社会を下からつくろう!
――相原龍彦
さん(憲法擁護・非核平和を進める中野区民の会)

相原)

時間の経つのは早いですね。盛り上がったせいかもしれませんが、こういう時は早いです。
 小泉人気がいまなお続いていることについては私も大変気になっています。私の友人は、「小泉さんはやる気十分で、精力的じゃないか」と言います。確かに彼はやる気十分です。ただ間違ったことを一生懸命やっているだけで、良いことは全くやってはいません。

 イラクでは子供や市民が犠牲になっており、いま反米感情がものすごくて団結が強まっています。イラクの人は、一日も早く平和で生きるためだと私は思います。先生のお話いを聞いて、自衛隊がイラクに行って日本も加害者だということを身にしみて感じました。最近、アメリカでイラク戦争は何だったのか、あれは間違いではなかったのかという声がどんどん増えていることに私たちは黙っておられません。

 それから私たちのたたかいについて感じることですが、「本当に労働組合も政党もダメだな、小さくなった」と言う人がいます。私もそう思います。しかし問題なのは、それを理由に日和ってしまう人がいるんですね。これは困るんだね。確かに私たちにはまだ不充分なところがいっぱいあるけれども、いまどうしたらいいのだろうかと考えないといけないし、そこが基本でもあると思うのです。一生懸命働いている人、弱い立場の人、真面目にやっている人、正しい人がこんな苦しい思いをして大変な生活を送っている、その一方で悪いことをする政治家は威張る、金もうけをする、こんなことを許してはいけないと思います。

 先ほど、「歌を歌って酒飲んで」ということも言われましたが、それも良いと思います。しかし、苦しい時や大変な時こそ闘いのときです。逆に言えば、苦しいときこそわれわれにとってはやりがいがあるということです。正しいものが堂々として生きられるための社会を創っていくのはわれわれなんだという自信と誇りがあるのです(拍手)。私はそう思うのです。ですから、大変でしょうが、みなさん、また学習する機会があると思います。学習しましょう、交流しましょう、そして一緒に行動しましょう。仲間は必ず増えるんです。先生が言われたように運動は下からつくるものです。私も労働組合運動は長いです。地域の運動も長くやっています。運動は職場や地域からつくるのだと自分に言い聞かせながら自分の信念をやり通す、それが人間の生き方だと思います。どうかこれからみなさん、平和憲法を守るために全力をあげてたたかいぬきましょう。お互いにまた会える機会、学習と闘いを楽しみにして閉会のあいさつに代えたいと思います。頑張りましょう。ありがとうございました。(拍手)

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