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 2001年10月30日・戦争参加法成立
  日本・戦争参加 自衛隊の海外派遣に反対する資料・覚書
      
        石上正夫(ジャーナリスト・反改憲ネット21世話人)

目次
 はじめに 1.映像が世界を制した日  2.小泉・ブッシュ会談  3.新法成立前に自衛隊は活動を開始

 4.異様な高支持率の危険性  5.小泉首相の高支持率不思議と危険性  6.「テロ対策特別措置法」の成立
  7.愛国心・反戦・愛国心

 8.戦争と言論統制  9.自衛隊、公海外へ出動命令 小泉首相の腹のうち  
  10.領海外・自衛艦出動の先は?  11.小泉首相のチェックポイント


ここに掲載いたします論文は、石上正夫さんが昨2001年の年末に執筆されたものです。
この度、石上さんのご厚意で、掲載させていただくことになりました。

 
 
はじめに
 戦後五十五年、PKO等で自衛隊の海外派遣はあったが、戦争参加を明文化することはなかった。
2001年10月30日、小泉内閣は、「テロ対策特別措置法」を成立させた。「テロ特措法」と戦争を直接感じさせない名称を使っているが、「対米支援戦争参加法」で、実質は戦争に参加する法律である。
戦争拒否の55年間の歴史を、戦争参加に切り替えたということは、日本の歴史を書き替えた重大なできごとである。戦争をしないことと、戦争をするということは、白と黒ほどの違いがある。戦争参加を容認すれば将来国民がどれほどの犠牲を背負い込むかを見極めた上での戦争容認なのであろうか。
政治家、マスコミ、国民が戦争参加法の国会での可決を、あまりにも静かに見送ったのには、日本の未来に危機感を抱いた。
 戦争が国民に極限の犠牲を強いることは、歴史が証明している。15年戦争の発端になった満州事変は、関東軍高級参謀板垣征四郎大佐の謀略によって開始された。しかし、「奉軍満鉄線を爆破/我鉄道守備隊応戦す」(昭和6年9月19日・朝日新聞)と報道した。日本軍の謀略によって開始された侵略戦争を、中国軍が仕掛けた戦争だと、国民は敗戦の日まで信じて疑わなかった。
失うものはあっても、得るもののない戦争を欲する市民はいない。
そこで権力をもつ支配者は、国民を戦争に引き摺り込むためにいろいろな策をめぐらす。嘘の情報で国民を篭絡するのである。これは何時の時代でも変わることはない。
「日本の生命線である満州で、戦争を仕掛けてきた中国軍を撃ち破った」日本軍に、当時の国民は軍を支持し、快さいを叫んだ。その後の経過は歴史が示す通り東京大空襲・本土空襲・広島、長崎の原爆の攻撃を受け、60万市民が命を奪われる悲劇を招いた。日本軍は250万の戦死者、餓死者を出した上アジア諸民族二千万の命を奪った。
戦争は大したことがない顔をして国民に近づき、抜きさしならぬ犠牲を強要するものである歴史的教訓を忘れたくない。
 米軍支援戦争参加法は、「憲法前文にある『国際協調』を実行するので違憲ではない」「後方支援で、安全な地域への派遣で戦争参加ではない」等と国会で政府は答弁している。
日本の歴史を塗り替える「戦争参加」という重大事項にたいして、野党もマスコミも国民も何故徹底的に疑問をぶつけ納得のいくまで討論しないのかが不思議でならない。
日本政府が新たに戦争を肯定した憲法に抵触する法律と自衛隊法を、国民の義務として厳しく監視する必要がある。 
 
1. 映像が世界を制した日

20世紀前半は戦争の世紀であった。誤った国益追求のために、多くの国民が命を失った。その反省の上に立って、後半は戦争を否定した平和な世紀であった。後半の五十余年、戦争で死んだ人はいなかった。五十余年、平和が続いたのは、憲法九条を国民が大切にしたからである。
21世紀は平和な世紀になると誰もが望んでいた。ところが、平和への期待はもろくも崩れ去った。
21世紀の幕が開いたばかりの9月11日午前8時45分、ニューヨークの世界貿易センタービル北棟に、ハイジャックされた民間航空機が体当たりで突入、超高層ビル爆破・炎上、黒煙が空を覆った。
9時3分、世界貿易ビル南東にハイジャック機が翼をやや左に傾けて突入、ビルを突き抜けて爆発、激しく炎を噴き出した。外壁は粉々になって飛び散り落下した。落下物のなかに人影を見る凄惨な映像に、世界中の人々は息を呑んだ。
人々がテレビの映像に釘付けになっているその時、世界経済の繁栄を象徴する超高層ビル南北両棟は、積木細工が崩れるように崩壊した。巻き上がる黒煙砂塵は猛威をふるう怪物のように地上にいる人々に襲いかかった。砂塵を浴びて、灰まみれで必死に逃げる人々の悲壮な表情は、映像を見ている人々を唖然とさせた。
 カメラは北側からハイジャック機が北ビルに激突する映像をとらえ、次に北側のカメラが北ビルの影になっている南ビルに航空機が突入するところと北ビルの影で南ビルが爆発する黒煙を映し出している。 
更にカメラは南側からハイジャック機が南ビルに激突、ビルを突き抜ける瞬間を克明に写している。
3つ目のカメラは、超高層ビル両棟が崩壊、爆煙が物凄い勢いで逃げる人に襲いかかるところを逃げる人の側から写している。

 この三方向からとらえた映像が、繰り返して数時間にわたって放映された。世界中の視聴者は、テロの非情・壮絶な無差別殺戮に、唯々、唖然、呆然と画面を見つめた。何回も同じ画面を見ているうちに悲惨さは激怒に変わり、さらに恐怖と憎悪に変わっていった。
「テロ撲滅」を9時30分に宣言したブッシュ大統領に同意する人心操作をテレビがやりとげた。
 10時17分、フランス大統領が「…フランス国民はすべて、アメリカ国民と共にある」とテロ撲滅の決意を表明した。つづいてイギリス首相、アラファト議長、福田官房長官、ドイツ首相、イスラエル首相、江沢民中国国家主席、イタリア首相、金大中大統領、そして、21時20分、小泉首相など各国首脳が犠牲者への弔慰とテロ撲滅の決意を表明した。
たった数時間で世界の首脳の意志を統一したテレビの威力に改めて注目した。テレビは事件を立体的に速報として、事件発生と同時に報道し人心を操作する力を発揮した。
アメリカは何度も繰り返し放映した後で、六千人の命を奪った映像は衝撃が大き過ぎるという理由で放映を自粛するようにとコメントした。 
 当を得たコメントであるが、一歩立ち止まって考えると「テロ撲滅」の人心操作終了のコメントとも解釈できる。
この映像は誰が何処から撮影したのかが、明らかにされていない。少なくとも3カ所以上の場所から撮影されている。突発事件をこうまで効果的に、しかも的確に撮影できたものと、些かの疑問が残る。また、突発的大惨事を動転しながらの撮影ならば無駄な映像もあったはずである。これだけ強烈な説得力のある映像にするには、編集の手が加えられていたはずである。

一体誰が何の目的で編集したのか、あの繰り返し放映された画面を思い返すとどうしても疑問が残る。
しかし、24時間で世界主要国の首脳が「テロ撲滅」で一致したのは、まぎれもない事実である。
ハイジャック機のテロは世界貿易センタービルだけではなかった。9時40分、アメリカン航空77便が国防総省に突入、爆破、炎上、多数の死傷者を出した。
更に10時6分、ユナイテッド航空九三便が、ピッツバーグ近郊に墜落、全員死亡した。ハイジャック犯と乗員が争った末の悲劇であった。
 ブッシュ大統領は、間髪をいれず「テロを超えた戦争だ」と宣言、オサマ・ビンラディンを犯人と断定、「アメリカにつくか、テロリストの側につくのか」「犯人もそれを援護するものも区別しない」と宣言した。
世界の警察国家を自認するアメリカの威信を傷つけたテロリストにたいする怒りとビンラディンをかくまい支援しているアフガニスタンのタリバン政権にたいして、攻撃する決意表明でもあった。
経済、軍事において世界超大国である米大統領の発言は、黒か白かを迫る強圧的発言である。この発言はアメリカの驕りが顔を出した発言である。

 一方、米国内の情勢は、テロリストの無差別殺戮にたいする恐れが、憎悪にまで高まり、テロ撲滅へ向けて国中が一体になって燃え上がった。町中が星条旗で埋め尽くされ、愛国心がアメリカを一色に塗りつぶした。
テロ撲滅を叫ぶブッシュ大統領の戦う決意を90%以上の国民が支持した。ゴア大統領候補と5分5分に近い接戦で政権を獲得したブッシュ大統領をテロリストは一挙に高支持率へ押し上げた。
この高支持率が、アフガン空爆の決定を早めた。異常な高支持率は、民主主義を危ういものにしかねない。小泉の高支持率も同じである。
 ブッシュ大統領の早すぎる戦争決断を批判したニュースキャスターは、即日罷免された。今はブッシュ批判はタブーであるが、民主主義が徹底している米国民が冷静を取り戻すのは時間の問題であるように思える。 
 
ブッシュ大統領のやらせ疑惑

世界貿易センターの高層ビルに突入するハイジャックされた民間機が突入するテレビの映像を見て、唖然、驚愕、恐怖に心を奮わせた。間髪をいれず「新しい戦争」宣言をしたブッシュ大統領の声明を聞いた瞬間「これはおかしい」と誰もが感じた。しかし、目の当たりに崩壊していく高層ビルと崩れ落ちていく瓦礫と共に失われた人々の命を思うと口に出すことをためらわせた。
 あまりにも出来過ぎた映像とあまりにも素早いブッシュ大統領の戦争宣言に、はっきりと疑問を表明したのは、10月24日の佐藤道夫参議院議員の国会質問である。
テロ対策特別措置法案に関する連合審査会の議事録は、18ページにおよぶものであるが、要点を抄録してみる。
「もうかねがねテロリストがいるとFBI、CIAが警告しているでしょう、今年の6月も、フロリダ半島のマイアミにタリバンの手下が、ビンラディンの手下が27名、何か知らないが数まではっきり言っているんですね。27人も集まってよからぬ企てをしていると、警告まで発している、自国にもいると。日本と韓国には米軍基地を厳重警戒するように警告を発している。」
「それなら、まずもって自国は大丈夫かと考えるのが当たり前でしょう。それを一切やっていない。やっていないから、ああいう事件が起きたわけですよ」
 言葉の言い回しは慎重にしているが、アメリカはテロの凶行を知っていながら国内の対策をしなかったのは、承知の上でやらせたのではないかということである。佐藤議員は多くの人の抱いている疑問を率直に述べている。佐藤議員はさらに小泉首相に食い下がって質問をしている。
「情報機関が四つもある。CIA、FBI、その他。この情報員が何と何と12万人いる。使っている予算は3兆円、もう世界中のあらゆる情報がアメリカに集まって当然なことであります」
「それの情報、あれだけのことを集めたが、その後何もしていない、こんなことが許されるだろうかと」
「ルーズベルト大統領がわざとすきを見せて日本に襲わせてあれだけの被害を与えて、そしてアメリカ人の奮起を期待したんだということをもっともらしく言う人がいます。そんなことはないと思いますけれどもね」
疑問を挟む言い方ではあるが、ルーズベルト大統領の国民奮起のための謀略とブッシュ大統領は同じ謀略的手段をとったのではないかという大胆な指摘である。 佐藤議員(元札幌高検検事長)の発言は、国会議事録には記載されているが、一般の人の目には触れにくい。

 この発言をわれわれに分かりやすく紹介したのは、松崎明著『鬼の咆哮―暴走ニッポン―』の「三.アメリカは知っていた!? 佐藤道夫氏の指摘」である。
「佐藤氏は小泉首相になぜアメリカが事前に承知しながら、テロを許したのか、と厳しく質問している。実に鋭い指摘であると同時に、暗にアメリカの『やらせテロ』を臭わせる興味深い指摘である」として、佐藤道夫議員の小泉首相にたいする国会での質問の全議事録を巻末に紹介している。
先に「映像が世界を制した日」で指摘したように数時間で世界の主要国を「テロ撲滅」の方向づけをして、戦争支持の世論を星条旗の氾濫の興奮の中につくりあげた演出に疑問を投げかけたが、市民感覚では六千人(当時発表)の人命を引き換えにまさかという思いが揺れ動いたのも事実である。
佐藤道夫議員がルーズベルト大統領の国民操作の謀略を疑問符をつけながらも指摘したが、ロバート・B・スティネット著『真珠湾の真実―ルーズベルト欺瞞の日々―』(妹尾作太郎監訳・荒井稔・丸太知美共訳・文芸春秋刊)には、「…ルーズベルト大統領は、日本軍の真珠湾攻撃を事前に知っていた。…つまり、日本が真珠湾を攻撃するよう、ルーズベルトが慎重に仕向けたのではないか。1940年10月7日に作成され、ルーズベルト大統領に採用された、ある極秘覚書によると、そうした行動がいくつか、実際にあったのだ」と記述し、海軍情報部極東課長アーサー・H・マッカラム海軍少佐が1940年10月に作成した「戦争挑発行動八項目」をあげ、「8項目の行動計画は実際上、ハワイの陸、海、空軍部隊ならびに太平洋地域のイギリスとオランダの植民地前哨部隊を、日本に攻撃させるよう要求したものであった」と記述されている。

 佐藤道夫議員が指摘したように、権力を握ったアメリカの大統領は、国論を統一するためには、一般市民の想像を超えた謀略を遂行する体質があることをルーズベルト大統領が証明したと言える。
謀略事例はこれだけではない。10年前の湾岸戦争もブッシュ大統領(現米大統領の父)の謀略説が論じられている。「侵攻直前にフセイン大統領と会見した駐イラク・アメリカ大使が、『アメリカ政府は、アラブの問題はアラブの手で解決することが望ましいと考えている』と述べ、それがフセイン大統領にクウェート侵攻を決断させる決定的な要因となった、という報道も行われた」(『「湾岸戦争の危機」の教訓―戦略なき日本の敗北―』小川和久・PHP)。イラク軍十二万、戦車350両がクウェート国境に集結しているのを人工衛星は確実に捉えていたから、CIAは政府に警告した。しかし、ペンタゴンはこれを無視した。また、アメリカ政府も外交によって、イラクの侵略を阻止する動きをまったく見せなかった。この事実からして、ブッシュ大統領の謀略説が報道されたのである。
こうしたいくつかの事例を重ね合わせて考えるとブッシュ大統領親子二代の謀略説が信憑性をおびてくるのである。
ブッシュ大統領は、パウエル国務長官はじめ六人の側近中五人を元軍人で固め、女性のライス大統領補佐官は宗教右派の戦争肯定者である。死の商人の兵器の消耗、石油エネルギーの利権確保の大企業との癒着によって、同時多発テロが世界貿易センターに突入する前にすでに戦争をする準備は整っていたのである。大統領の政治的背景に目を向けると非情な謀略の真相が見えてくる。

 米政府謀略説を裏付けるCIAの日本と韓国にたいする警告は巨大な情報組織から得た情報である。十年前の湾岸戦争の情報組織をはるかに超えたものになっている。
CIA(中央情報局)は、冷戦時代アフガンに侵攻したソ連軍と戦うビンラディン・アルカイダに資金、武器を援助した蔭の戦力であった。世界中に情報網を張り巡らせて、情報収集、謀略から要人暗殺まで行った。
大統領、軍部と直結した強力な組織が、テロの情報をとらえながら同時多発テロを阻止しなかったのは、大きなミスでありCIAの責任である。ところがブッシュ大統領は、その責任を追求することをせず、CIA職員を前にして激励、一次禁止していた要人暗殺を解除した。謀略説を疑わせる要因の一つとなった。CIAは人を中心にした組織である。
今回の事件でCIAだけでなくハイテク情報機関があることが分かった。
NRO=国家偵察局、人工衛星による世界的情報収集を行う機関である。
エシュロン=世界通信傍受機関、世界中の通信を盗聴する機関である。世界の主要人物の声紋を持っていると言われている。また、テロ、暗殺…といった言葉や暗号を即座に調査する仕組みになっている。
エシュロンは世界の要所々々にあるが、日本には沖縄と三沢基地内にある。
NSA=国家安全保障局、ここですべての情報を総合収集管理分析を行う。
佐藤道夫議員が指摘した12万人の情報員、3兆円の予算、4つの情報機関とはここにあげた機関である。これだけ巨大な機関がテロの情報を捉えながら何の対策もたてない、その説明もいっさいない。これではテロやらせ謀略説が出ても不思議はない。

また、ブッシュ大統領は、イラン、イラク、北朝鮮をならず者国家と名指しして、つぎの攻撃目標になりうると声明を出した。
アメリカ国民も世界の諸国、同時多発テロで頭に血がのぼった状態から抜け出て、冷静さを取り戻した時、最大のテロ国家はブッシュ大統領が演出したものと気づくであろう。
すでに米軍は、演習と称してフィリピンに兵を送り込んだ。演習とは口実でゲリラ撲滅が狙いである。ブッシュ大統領の戦争拡大の意志の底が見えないほどである。
話し合いの外交手段を無視したブッシュ大統領の世界制覇の陰謀を見抜く力のない小泉首相が、ブッシュ大統領に追随して「アメリカと共に毅然として戦う」と場当たり対米公約の声明を公表した。国会・国民を無視した危険きわまりない声明である。
挙げ句の果てに戦争をしない国を戦争をする国に「対米支援戦争法」を「テロ対策特別措置法」と言葉のマジックを弄して成立させた。その上、テロのどさくさに乗じて「有事立法」を成立させようとしている。何でもありの小泉首相の暴走を許しているのは、国民の高支持率にほかならない。今、必要なのは憲法9条に則った平和外交である。ブッシュ・小泉の危険度に国民が早く気づかないと日本は泥沼に引き摺り込まれることになるのである。

2.小泉・ブッシュ会談
 9月25日、小泉首相はワシントンに飛んだ。機内でくつろぐ小泉首相が皮のジャンパーでにこやかにテレビの画面に映った。なかなかダンディーでかっこいい。このかっこよさが、高い支持率になっているとすれば、困ったことである。
よく見ると首相の皮ジャンは、航空自衛隊のマークがついていた。ブッシュ大統領が迷彩色の戦闘服で記者会見したことがあったことを思い出した。
小泉首相は大統領に会う前に、すでに戦う意志を表明していた。空自皮ジャンは、渡米機内ファッション・ショーなのか、首を傾けた。
 太平洋戦争当時の政府と軍部は、白いマフラー、飛行機、七つボタン等かっこよさで少年たちの心をとらえ、少年兵に志願させた。外形のかっこよさに心を魅了され少年兵は、出撃命令をうけた時、はじめて「戦争とは、かっこよく近づいて、死をもって締めくくる」ものと気づいた。浜松陸軍航空隊で見た少年兵たちは、あまり語ることもなく、笑顔を失って出撃していった。

 飛行機のなかで航空自衛隊の皮ジャンを着て笑っている小泉首相は、笑顔を失って死んでいった多くの少年兵がいたのを知っているのだろうか。テレビの映像は、想像力の欠如した笑顔にしかみることはできなかった。
 小泉首相は、マンハッタンの破壊現場を見たあとテレビに向けての第一声は、「胸が痛いというのかな、ハートブレイキングというのかな、テロにたいしてはアメリカと一緒に毅然として戦う」であった。「アメリカと一緒に毅然と戦う」歯切れのよい大向こう受けの発言であるが、憲法9条をいただく日本の首相の発言としては、極めて不適切な発言である。大統領は「テロを超えた戦争だ」と宣言しているのだから、まさに戦争突入宣言と受け取られる危険な発言である。航空自衛隊の皮ジャンを着用した意気込みが、この発言になったのである。

 落ち目になっていたが、同時多発テロへの対応で人気上昇中のニューヨーク市長と共にテレビの前に立った小泉首相は、「日本はアメリカ合衆国と共に戦います」と世界に向かって戦う意志を表明した。 
9月26日、朝日新聞は朝刊の一面トップに、「米軍支援立法を公約」と大きく報道した。25日(現地時間)午前、ホワイトハウスで小泉・ブッシュ会談が行われ、「武力行使はできないが、医療、難民支援、物資輸送、情報収集など日本ができる限りの範囲で協力する」ことを約束。米軍支援の新法制定を「対米公約」した。
 武力行使はできないがと断っているが、戦争宣言をした米軍の後方支援をすることは、戦争に参加するということである。戦争に前線と後方の区別はない。後方の補給路を攻撃するのが作戦の常識である。
国会、国民の合意のないままの国際公約は、民主国家の首相のやることではない。 

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