Q7.「超法規的措置をとらないために必要」?

A.「武力攻撃事態法案」こそ「超憲法」=「超法規」

「有事に適用されるルールがなければ、政治家や自衛隊が独走しかねないし、いきすぎた人権侵害も防げない」という意見があります。しかし、今回の有事三法案は「政治家や自衛隊の独走」を防ぐものなのでしょうか? むしろその逆ではないでしょうか。

いうまでもなく、現行憲法は、「国権の発動たる戦争」と「武力による威嚇又は武力の行使」の放棄を明記しています。したがって「国家が戦争をいかにおこなうか」に関する規定も「武力の行使」に関する規定も憲法には一切存在しません。
 ところが、政府は、「武力攻撃事態法案」で、「武力の行使」と「基本的人権」の制限を宣言し、「宣戦布告」も、戦争の基本方針も、陸海空三軍の指揮もすべて首相に集中し、行政機構・地方自治体・企業・国民に戦争への協力を義務づけています。このような規定をもった「武力攻撃事態法案」こそが「憲法違反」の「超法規」であり、これにもとづく政府・自衛隊の行動こそが「超法規的措置」ではありませんか。

「非常大権」をもった首相の登場

 「でも、いざ戦争になったとき、ルールがないと、政治家や軍人の独走にたいする歯止めがなくなって危険だ」と危惧する人もいます。しかし、「武力攻撃事態法案」のいったいどこに、首相の独走に歯止めをかける条項があるのでしょうか?
1.「対処基本方針」(「武力攻撃事態の認定」「武力攻撃事態への対処に関する全般的な方針」「対処措置に関する重要事項」)は、すべて政府が決定権をもちます。
2.陸海空三自衛隊への「防衛出動命令」=戦闘開始命令は、首相の専決事項。
3.首相が「対処基本方針」を諮問する安全保障会議は、首相が議長。しかも、この「安全保障会議」 の機能を強化するために常設の「事態対処専門委員会」(委員長・官房長官)を設置する(安全保障会議設置法改正案)。
4.「武力攻撃事態対策本部」の本部長は、首相。
5.首相は、「地方公共団体」「指定公共機関」に戦争協力の「指示」をだし、これが拒否されたときは「代執行」「直接執行」ができる。
6.国会が首相の独走に歯止めをかけるといっても、首相による「対処基本方針」の作成に、国会は関与しない。「対処基本方針」の国会承認は、実質上事後承認でもよいなど、国会無視の数々の条項。
 
まさに、首相に、戦前の天皇のような「非常大権」をあたえているのが、「武力攻撃事態法案」 です。
「国会の承認をいちいち求めていたら緊急事態に間に合わない」という意見があるかもしれません。しかし、戦争は、自然災害のように突然天からふってくるわけではありません。国家の政策として戦争は開始されるのです。政府は、侵略戦争が、国民の多くに反対されることを予想しているからこそ、したがって国民の意思を代表する国会の意思=決定と対立することや反対運動の高揚を想定しているからこそ、首相に「非常大権」とでもいうべき”独裁権”を与えようとしているのではないでしょうか。
このような発想こそ、「国権の最高機関」としての「国会」を否定するものであり、国民主権、三権分立=民主主義の否定です。

 「それでもまったくルールがないよりあった方がいい」 のでしょうか? でも、いったい誰がこの 「武力攻撃事態法」を適用するのでしょうか? 「村テロ特措法」を制定して戦後初の参戦を果たし、靖国神社への公式参拝を強行した小泉政権です。

 あの「国家総動員法」ですら、その「付帯決議」に「憲法の精神にもとらざるべきはもちろん=…・本法を濫用」しない、と明記してありました。これがいかに欺瞞であったかは、歴史が語るとおりです。

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